ＢＩメールニュースNo.032　 2010.1.30発行

【1】シュタイナーとベーシックインカム

ベーシックインカム・実現を探る会　主任研究員　佐藤雅史

【2】BIニュース

田中康夫氏が民主党の定期大会でベーシックインカムを訴えました

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私たち「ベーシックインカム・実現を探る会」は、政治的に中立の立場で、

「すべての個人への無条件な所得の保証」というベーシックインカムを

実現につなげる提言を発信します。

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【1】シュタイナーとベーシックインカム

ベーシックインカム・実現を探る会　主任研究員　佐藤雅史

先日、ドイツのBI運動の雰囲気を伝える写真がミュンヘンの友人から届いた。昨年9月に開催されたBIシンポジウムの様子を写したものだ。

http://cid-030d0104b7c0f740.skydrive.live.com/browse.aspx/bi

その一枚に、金色の王冠をプレゼントされる女の子の微笑ましい写真がある。市民が手をつなぐシルエットがかたどられた王冠が山積みされたブースの看板は、こう問いかけている。「もしも収入の心配がなくなったら、あなたは何をしますか？」と。ドイツのBI運動の特徴は、この言葉に集約されていると思う。

この問いの背景には、ドイツでBIを社会的な話題へと押し上げた、ゲッツ・W・ヴェルナーという企業家の存在がある。ヨーロッパに2,000店以上というドラッグストア・チェーンを育て上げたゲッツは、ゲーテやシラーなどの古典を愛し、社員研修にも古典演劇を用いることでも知られた存在らしい。若手の起業家の養成にも積極的だ。

そんな彼のBI論の特徴は資本の捉え方にある。資本をたんなるお金と捉えるのではなく、一人ひとりの才能やアイデアと結びついてそれを実現する手段だとゲッツは考える。人間の才能が種子なら、資本は種子を発芽させ成長させる水や肥やしというわけだ。

つまり彼が考えるBIとは、人々が自分の可能性を自由に試せるように、個人単位で提供される社会資本なのである。同様に、経済循環のなかで働く人々の才能もまた十全に花開くよう、企業の生産プロセスに課される税（法人税や所得税）を廃止するべきだとゲッツは言う。彼がBIの財源を消費税に一本化するのは、このような理由がある。

このような社会がうまく機能するだろうか。ゲッツは自分の経営する企業をその実験場に選んだ。企業内のヒエラルキー構造を排除しつつ、労働者のイニシアティブによる企業の再編を行った結果は、「YES」だ。

さて、来る2月11日に、ゲッツにも影響を与えたとされるルドルフ・シュタイナーの社会論とBIの関わりを紹介する講演会を開く予定だ。ゲストはシュタイナー研究者の高橋巖氏。実現を探る会メンバー総出演の座談会も楽しめる二部構成で、みなさまをお待ちしています。

＜佐藤雅史　氏　プロフィール＞

ベーシックインカム・実現を探る会　主任研究員

シュタイナー教育で知られる20世紀初頭の思想家、ルドルフ・シュタイナーを源

泉とする社会実践や思想の紹介の場、フォーラム・スリー共同主宰。横浜・大倉

山の母と子の育ちの場、竹の子の会の教師でもある。

フォーラム・スリー http://www.forum3.com/

竹の子の会 http://www.forum3.com/open/tk/

【2】BIニュース

田中康夫氏が民主党の定期大会でベーシックインカムを訴えました

新党日本代表の田中康夫氏が、１月１６日の民主党の定期大会でベーシックインカムを訴えました。

http://asx.pod.tv/dpj/free/2010/20100116taikai_02_v300.asx

上記動画の10分くらいのところから、民主党が掲げる子ども手当をさらに進化させたものとしてベーシックインカムを紹介しています。一律無条件に支給される公正性と透明性、そのことにより行政コストが効率化される特性など、その現代社会における必然性をコンパクトに説明しています。

参考：「民主党２０１０年度定期大会」

http://www.dpj.or.jp/news/?num=17530

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発行 : ベーシックインカム・実現を探る会、編集長:野末雅寛

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