BIメールニュースNo.164  2012.9.1発行 バックナンバー

バックナンバーの公開は発行後1ヵ月後になりますので、メールマガジンでのご購読をおすすめします。

BIメールニュースNo.164  2012.9.1発行

【1】「泥臭くBIを!」                  白崎 朝子

【2】自動機開発の現場から(3)              野末 雅寛

【1】「泥臭くBIを!」                  白崎 朝子

今年の2月26日、“小田急線ベーシックインカムシスターズ”の仲間たち2人と主催した武藤類子さんの講演会。それがご縁で、武藤さんが団長の福島原発告訴団・関東を立ち上げて事務局専従となった。

事務局立ち上げと並行し7月から念願の介護現場への復帰も果たした。現在、ケアワーカーを週2日やりながら福島原発告訴団・関東の事務局もしている。総論どころか各論すら絞りだせないてんやわんやの状態で、福島事務局と毎日のように実務連絡をしながら運動している。

一方、震災による財政難を理由にした社会保障削減の問題もある。本来ならBI推進論者は、この税と社会保障の一体改革の問題や生活保護への弾圧ときちんと直面化して、新たな議論を展開していかなけばならないはずだ。私は今、印刷だ、発送だ、説明会の準備だと毎日が雑務に追いまくられている。だが『前線』なので、東京にいながらも被災者の肉声や状況がダイレクトに入ってくる。自主避難した母子が水際作戦の影響で生活保護を受けにくくなっているという話も聞いた。

2008年からBI支持者に多数会ってきたが、声高にBI推進を叫んでいた人ほど消えるのも早い。だが福島原発告訴団の運動の中で、他の運動と並行してBI運動に関わってきた仲間にも再会もしたし、何よりもケアワーカーと多数知りあうことができた。別な運動の事務局の女性から「震災があった時にケアワーカーは対応が早かったです」と先日も言われた。

告訴団の運動は原発事故の責任追求という実務中心の地道な運動であり、華やかさは皆無だと思う。関東事務局の事務局長には、白崎一裕さんになって頂いた。関東の中では放射線値が高い栃木県北在住で被災者としての当事者性が高いからだし、教科書裁判の原告でもあり適任だと思ったからだ。

近況報告のような前置きが長くなったが、2009年から毎週、このメルマガを出し続けている編集長の野末雅寛さんの職人的な努力に心から敬意を払いたい。BI論ではないが、BIを推進している(いた)人に、いま最も読んで貰いたいのが野末さんの文章だ。地べたに這いつくばるような実務の日々だからこそ、前から知っている野末さんの文章が改めて心に滲みた。

野末さんの文章は、本気でBI論を推進している人間の覚悟や生きざまが凝縮している。また新しい局面に立ったBI論の切り札が潜在している。

BI運動の真の灯火として、あるいは暁として『自動機開発の現場から(3)』を心から推薦したい。

白崎朝子

【2】自動機開発の現場から(3)              野末 雅寛

哲学を学んだ私が技術の世界に飛び込もうと思ったのにはいくつか理由がある。いつも驚かれたり、怪訝な顔をされたりするので、一度まとまった説明をしてみたい。一つは内橋克人氏の『匠の時代』シリーズの影響を受けたことだ。綺羅星のごとく輝く中小企業群が、事実上日本の産業の礎となり、地域の雇用を支えているというルポタージュに深い感銘を受けたことだ。

自分もこういう人になりたいと思う職人さんたちがたくさん描かれていたし、実際に飛び込んでみて、現場の職人さんたちやオペレーターの方々にさえも日々頭が下がる思いだ。この世界に入って本当によかったと思うし、これまで自分が目指し、そして自分が所属していた偏差値エリートたちの世界がいかに腐っていたかが深く理解できた。

その腐敗ぶりは隆盛を極めついに決壊し、福島第一原子力発電所の事故として表面に現れた。あやうく道を誤りそうになっていた私にこのことを教えてくれた内橋克人氏には深く感謝したい。私は原発村に属していたわけではないが、それに類似した世界を見てきただけに、膨大な利権が絡んでいるだけに本当にあの世界は腐りきっていることが想像がつく。

もう一つは、私が専攻したドイツの哲学者であるハイデガーの技術論があまりにも稚拙極まりない非現実的な内容だったことだ。 http://on.fb.me/NsJlfK

トラックバック :