BIメールニュースNo.020 2009.10.31発行
【1】ベーシック・インカムは市場社会に人間の尊厳を取り戻せるか 山森亮
【2】京都で開催されるベーシック・インカムのイベント
【3】BIニュース:「朝まで生テレビ」でベーシック・インカムが議論されました
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私たち「ベーシックインカム・実現を探る会」は、政治的に中立の立場で、「すべての個人への無条件な所得の保証」というベーシックインカムを実現につなげる提言を発信します。
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【1】ベーシック・インカムは市場社会に人間の尊厳を取り戻せるか
同志社大学経済学部教員 山森亮
中谷巌さんが還付金つき消費税を提案したり、元ライブドア社長の堀江貴文さんがベーシック・インカムに賛同したりと、ベーシック・インカムを巡る議論はこの1,2年で一気に広がってきた。政治の世界では、新党日本が今年に入ってベーシック・インカムを公約に掲げている。また自民党、民主党はじめ幾つかの政党の議員が議論をしている「給付つき税額控除」も部分的なベーシック・インカムといってもよい。
こうした部分的なもの、額の少ないものではなくて、生活するに足る額のベーシック・インカムを全ての人に支給するということを具体的に制度として導入するには、幾つも乗り越えなくてはいけない山がある。まず真っ先に批判されるのは、なにより財源問題だろう。
これらの山があるにもかかわらず、生活をするに足るベーシック・インカムの給付を今声を大にして要求していくことの意味はなんだろうか。理念としてのベーシック・インカムが承認されるということは、生存権が無条件であることの確認である。この確認さえできれば、社会保障を巡る論議は、「○×にいくら掛かる(だからやらない)」ではなく、「○×にいくら掛かるけれども、ベーシック・インカムに比べたら微々たる額だから、とりあえずやろう」と変わっていくだろう。それだけで大きな変化がおこるはずだ。
京都で二つのベーシック・インカムを巡る議論の場が持たれる。
一つは日本を半世紀以上にわたって研究してきたロナルド・ドーアさんを囲むシンポジウムである。ドーアさんは日本研究者としては非常に有名であるが、ベーシック・インカムについて肯定的に論じられていることは日本では殆ど知られていない。このシンポジウムはドーアさんがベーシック・インカムについて日本語で語られるおそらく最初のシンポジウムである。シンポジストに『日本の経済格差』などでここ10年の格差論議の火付け役となられた経済学者の橘木俊詔さん、日本で始めて体系的にベーシック・インカムを紹介された小沢修司さん、新進気鋭のフェミニストの政治思想家の岡野八代さんをお迎えして、フロアも交えて活発な議論を行いたいと思っている。
もう一つは、ベーシック・インカム日本ネットワークの設立大会と関連行事である。2004年にできたベーシック・インカム世界ネットワークと連携しながら、来年3月に日本にもネットワークが立ち上がる。ILOで長らくベーシック・インカムを提唱され、ベーシック・インカム世界ネットワークの代表も勤められたガイ・スタンディングさん、イタリアで不安定就労者たちのメーデーなどに関わってこられた経済学者のアンドレア・フマガッリさんなどを国外からはお迎えして、国内からは、さまざまな現場でベーシック・インカムを主張されだした方たちを結集して開かれる。
いずれも詳細は下記の情報をご参照下さい。
<山森亮(やまもりとおる)氏 プロフィール>
同志社大学経済学部教員。専攻は社会政策。
『ベーシック・インカム入門』の著者。ベーシック・インカムについては国際学術誌Basic Income Studiesの編集委員を務めた他、日本では雑誌『現代思想』『VOL』『経済セミナー』などに寄稿。
【2】京都で開催されるベーシック・インカムのイベント
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シンポジウム『ベーシック・インカムは市場社会に人間の尊厳を取り戻せるか
:ロナルド・ドーア先生を囲んで』
日時:11月13日(金)13時15分?16時30分 (入場無料・申込不要)
場所:同志社女子中高・静和館4Fホール(下記地図参照)
http://www.dwc.doshisha.ac.jp/access/campus_map/02.html
ロナルド・ドーア(同志社大学名誉文化博士)橘木俊詔(同志社大学ライフリスク研究センター所長)小沢修司(京都府立大学公共政策学部長)岡野八代(同志社大学アメリカ研究科教員)山森亮(同志社大学経済学部教員)
ロナルド・ドーア先生は1925年イギリス生まれ。半世紀以上に渡り日本研究を続け、『イギリスの工場・日本の工場』、『日本型資本主義と市場主義の衝突』、『働くということ』など著書多数。
主催:同志社大学経済学部・経済学会 共催:同志社大学ライフリスク研究センター
問い合わせ先:同志社大学経済学部研究室事務室 Tel:075-251-3534
e-mail: ji-keikn*mail.doshisha.ac.jp
(会場は同志社大学ではなく同志社女子中高内になります。ご注意下さい。)
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ベーシック・インカム日本ネットワーク設立前夜祭、設立記念国際シンポジウム、設立大会
日時:2010年3月26日(金)-27日(土)(入場無料・申込不要)
場所:同志社大学今出川キャンパス
詳細は下記にて更新予定
http://tyamamor.doshisha.ac.jp/
【3】BIニュース
朝まで生テレビでベーシック・インカムが議論されました
10月23~24日にテレビ朝日で放映された「朝まで生テレビ」でベーシック・インカムが主要な議題として議論されました。
「激論! 若者に未来はあるのか?!」というテーマで、若者論から議論が始まっていたのですが、しばらく政治制度の話で行き詰った後、セーフティ・ネット構築の具体案として浮かんだのがベーシック・インカムでした。
ベーシック・インカムについての議論の端緒を切り開いて終始議論をリードしたのが、批評家、哲学者の東浩紀氏で、当日のパネラーはベーシック・インカムについてはほぼ賛成でした。後から観客からベーシック・インカムについての反論がないのがいけないとクレームがつくくらいに全員一致の賛成でした。
下記の4つのブログが、それぞれの関心から内容をまとめていますので、ある程度の議論の流れが分かってもらえるのではないかと思います。
http://anond.pha11.info/archives/2817
http://d.hatena.ne.jp/gaku_n/20091023/1256328906
http://d.hatena.ne.jp/Toku/20091023#p2
http://d.hatena.ne.jp/stenog/20091024/p1
東浩紀氏は番組終了後にtwitterを始めたり、ベーシック・インカムとともに議題に上げたSNS直接民主制論がネット上で話題を巻き起こしています。
東氏のtwitter
東氏のブログ
また地方自治の現場から現実的な提言をしていた高橋亮平氏の発言もありました。
高橋亮平 市川市議会議員/東京財団研究員 世の中を変えるブログ!
http://blog.livedoor.jp/ryohey7654/
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