BIメールニュースNo.047 2010.5.15発行
【1】ベーシックインカムの政治論・番外編(3)
~~「POSSE」vol.6号の批判に応答する~~
白崎一裕(第三土曜日執筆)
【2】BIニュース 憲法記念日に当たっての各党談話
新党日本がベーシック・インカム導入を明記しました。
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私たち「ベーシックインカム・実現を探る会」は、政治的に中立の立場で、
「すべての個人への無条件な所得の保証」というベーシックインカムを
実現につなげる提言を発信します。
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【1】ベーシックインカムの政治論・番外編(3)
~~「POSSE」vol.6号の批判に応答する~~
ベーシックインカム・実現を探る会 代表 白崎一裕
引き続き、錦織さんの問題提起を検討しよう。次は、現金給付(BIなど)と現物給付の問題だ。錦織さんは、BI推進派の論理として、現金給付は個人の選択の自由を保障し現物給付は国家による個人の生活への権威主義的介入をまねくという理解は「市場か国家か」という二者択一へ問題を還元してしまっていると、批判する。
この論理は、BI推進派といっても新自由主義的BI推進派の論理であるが、錦織さんは、この新自由主義的な動きに警戒心を強くもたれているのだろう。錦織さんの警戒心をどこまで解きほぐせるかわからない。しかし、新自由主義批判の論点!を含んだBI推進の論理を展開していこうと思う。
結論からいえば、ヤニク・ヴァンデルホルヒトが言うように「現金給付と現物給付の双方が必要であり、そのコンビネーションが重要」ということになる(「普遍的ベーシックインカムと福祉国家改革をめぐる緊張関係」、『生活経済政策2010年5月号』掲載)。問題は、そのコンビネーションを具体的にどうするのか?ということだ。
まず、前提として「市場か国家か」という論点だが、基本は市場も国家も共に必要なのだ。いいかえれば、公・共・私という社会領域はどれも必要だということだ。市場は、近代資本主義誕生以前から存在し有効に機能してきた。市場がなければ、個人や異なる共同体間の交流・交通も進展しなかったであろう。また、国家は、法に基づく権力の行使期間として必要だ。しかし、市場や国家が暴走して個人の尊厳や自由を脅かしてきた歴史がある(もちろん、国家権力の行使を制限するために自然法淵源の憲法が存在するのだが、今回は、この問題には立ち入らない)。
BI政策のビジョンとして、市場や国家を相対化し、その暴走を食い止めることを考えてみよう。政権交代がおこりいくつかの地方自治体でも「事業仕訳」なるものがおこなわれている。しかし、会計用語を用いた「事業仕訳」は行政事業の質的な内容を十分に吟味することができない欠点を有している。欠点克服の視点は、「事業仕訳」から「市民参加予算」へ!が正しい。ブラジルのポルト・アレグレ市では、乏しい財源を公正に分配するために住民自身の議論の積み重ねで市議会に予算案を提出することにした。この市民参加・討議による予算案はめざましい成果をあげ、それまで、予算が配分されてこなかった貧困層のインフラ整備(上下水道、生活道路など)が進んだという。これは、住民・市民の「ベーシックニーズ」を議論の中から浮き彫りにした試みといえるだろう。このベーシックニーズと通貨改革とベーシックインカム(BI)を組み合わせて、現実的な現金給付と現物給付のあり方のプランを考えてみるのだ。ベーシックニーズの重要性を最初に教えていただいたのは、NPO法人もやい代表理事の稲葉剛さんだ。
(この稿続く、ただし、現在「実現を探る会」のHPにまとめて掲載することも検討
している。その際は、このメルマガでお知らせすることにしたい)
参考
雑誌『POSSE VOL.6』ようやく完成!注文受付開始
http://blog.goo.ne.jp/posse_blog/e/0e03bc9febf82eaca30d44f3aaa15f36
NPO法人 POSSE
<白崎一裕 氏 プロフィール>(第三土曜日執筆)
ベーシックインカム・実現を探る会 代表。
「とちぎ教科書裁判通信」
http://kazuhihi.blog39.fc2.com/
【2】BIニュース 憲法記念日に当たっての各党談話
新党日本がベーシック・インカム導入を明記しました。
憲法記念日に当たっての各党談話が各紙に掲載されています。新党日本は継続し
て、ベーシック・インカムの導入を明記しています。
http://www.47news.jp/CN/201005/CN2010050301000269.html
7月の参院選では、新党日本から立候補者が出るのか分かりませんが、マニフェストにも明記されるのか注目していきます。また、昨年の衆院選で当メールニュースで実施しましたが、子ども手当や給付付き税額控除など、普遍給付に関連するテーマについて、調査・報告いたします。
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発行 : ベーシックインカム・実現を探る会、編集長:野末雅寛
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