BIメールニュースNo.053 2010.6.26発行
【1】不換紙幣がなぜ信用されるのか(1)
ベーシックインカム・実現を探る会 主任研究員 古山 明男
【3】BIニュース 参院選擁立見送り=新党日本
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私たち「ベーシックインカム・実現を探る会」は、政治的に中立の立場で、「すべての個人への無条件な所得の保証」というベーシックインカムを実現につなげる提言を発信します。
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【1】不換紙幣がなぜ信用されるのか(1)
ベーシックインカム・実現を探る会 主任研究員 古山 明男
ベーシックインカムを考えていると、お金とはいったいなにか、という問題が出てくる。
現在お金を創り出しているシステムは、生産本位制と呼んでいいような仕組みである。これは、生活者にお金がまわりにくいシステムである。しかし、経済の根本は人々の暮らしにある。そもそも経済は暮らしをよくするための活動そのものなのである。そこにベーシックインカムを創り出す必然性がある。
お金がなぜ信用され、価値をもつのであろうか。不思議である。
紙幣自体は、ただの紙切れで、あまり有用ではない。食べられない。燃えやすく破れやすい。尻を拭くには硬すぎる。
いちおう法律で「法貨」とされていて、相手が受け取りを拒否できないことになっているが、国の法律ごときで紙幣の価値を維持できるものではない。インフレで紙切れ同然になったり、一国の通貨が信用されなくて替わりに信用されなくてドルが流通したりということはいくらでも起こっている。
紙幣の価値は、権力よりも実体経済に深く根ざしている。
実は、紙幣はお金の姿の一つにすぎない。現代では、お金とは銀行預金そのものである。われわれは、給料も銀行振込、電気・水道代も銀行引き落としにできる。買い物はカードでできる。それらは、銀行預金があることを前提にしているのである。銀行預金がお金である。お金のほんの一部が、紙幣の形になっている。
銀行預金としてのお金が価値を持つのは、お金が生まれるメカニズムにある。
お金のほとんどは銀行貸出が為されるときに生まれている。銀行は、ある上限までなら、持っていないお金を貸してしまっていいのである。持っていないお金を貸すのだから、貸したときに新たにお金が生まれる。信用創造と呼ばれている。
銀行は、集めた預金を貸すところだと信じられている。しかし、持っていないお金を貸して、そのまま借り手の預金口座に入金すれば、貸した金額と同じぶんだけ預金も増える。けっきょく、預金を集めて貸したのと同じバランスがとれているのである。
新規に貸出したお金はそのまま預金になり、銀行口座同士で決済に使われたり、紙幣になったりして流通しはじめる。お金が生まれたのである。
われわれが手にするお金のほとんどは、元はといえば、銀行貸出で生まれている。
貸出で作られたお金の価値を保障しているのは、借り手の側の有形無形の資産である。その中でも重要なものは、生産企業の資産や将来性である。このようなお金を、金本位制にならって、生産本位制と呼びたくなる。
(この稿続く)
<古山明男 氏 プロフィール>
古山教育研究所を主宰
http://www.asahi-net.or.jp/~ru2a-frym/
ブログ「変えよう!日本の学校システム」は多くの支持を受けています。
http://educa.cocolog-nifty.com/blog/
2009年7月12日の当会主催の勉強会で「ベーシック・インカムのある社会」を講演。
講演録
http://bijp.net/transcript/article/91
http://bijp.net/transcript/article/98
【3】BIニュース 参院選擁立見送り=新党日本
ベーシックインカムを公約に掲げている新党日本(田中康夫代表)は、7月11日の参院選に候補者を擁立しないと発表しました。比例代表に複数候補を立てる方向で検討していましたが、国民新党と衆院で統一会派を結成したことを受け、同党の比例候補であるプロレスラーの西村修氏を支援することになりました。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010062100334
今回の参院選では、ベーシックインカムを公約に掲げている政党が候補を立てないことになったので、ベーシックインカムを実現するためにはどの政党に投票すればいいのか、負の所得税の一歩手前である「給付付き税額控除」などの実現を目指す政党があるのか、ベーシックインカムを公約に打ち出している個人がいるのか、次週はその点をお知らせします。
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発行 : ベーシックインカム・実現を探る会、編集長:野末雅寛
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