BIメールニュースNo.073  2011.11.13発行 バックナンバー

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BIメールニュースNo.073  2010.11.13発行

【1】『労働と所得を切り離すために――ベーシックインカムではなく新しい福祉国家を』 坂倉 昇平

【2】BIニュース

ジャパンタイムズでベーシックインカムが取り上げられました

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私たち「ベーシックインカム・実現を探る会」は、政治的に中立の立場で、「すべての個人への無条件な所得の保証」というベーシックインカムを実現につなげる提言を発信します。

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【1】『労働と所得を切り離すために――ベーシックインカムではなく新しい福祉国家を』 坂倉 昇平

『POSSE vol.8』の特集「マジでベーシックインカム!?」では、ベーシックインカム(BI)についての賛否両論を掲載し、話題を集めた。この編集に携わる中で感じた、政策としてのBIというより、カネで生活が保障されるとする左派的な「BI」論への違和感について述べたい。

BIが「労働と所得を切り離す」という主張は多い。ここで克服の対象とされているのは、労働によってしか所得を得られない社会である。しかし、そもそも、なぜ労働と所得は結びついているのだろう。彼らはおもに福祉国家にその矛先を向けるが、はたして本当だろうか。

資本主義社会においては、商品所持者と貨幣所持者のあいだの契約において貨幣、商品を獲得する以外に所得を得る方法はない。それゆえ、一定以上の財を持たない圧倒的多数は、労働力を売って賃労働をするほかない。だから、市場経済である以上、労働と所得の結びつきは必然であり、解消されることは原理的にありえないのだ。

だが、福祉国家はむしろ、労働と所得の結びつきを市場規制、公的扶助、社会保険などの諸政策によって切断し、市場の不安定さと生活の不安定さの連動を抑制する傾向をもっている。一方で、BIはそれじたいとしては単にカネを給付するだけで、市場と生活のあり方を改善するものではない。支給金額、他の政策や市場の変動、または個別の必要性によって、いくらでも生活は不安定になり、人々は賃労働へと駆り立てられよう。労働と所得を切り離すならば、BIではなく、より具体的な市場規制や社会保障制度を志向する必要がある。

だが確かに、福祉国家も労働レジームにとらわれている、と批判することは可能である。従来の福祉国家は、労働と所得の結びつきを切断する諸政策を、結果的に労働を「強制」するために行うと言える。しかし、それは福祉国家が資本主義社会にあることの限界であり、福祉国家の諸政策そのものの限界ではない。

もちろん、本誌の萱野稔人論文で述べられているように、国家じたいが本質的に、市場経済に親和的な固有の論理で動くものだ。しかし、労働のための条件を整備しながらも、労働を「強制」しない福祉国家は可能であろう。そのために、本誌の後藤道夫論文でも触れられているような、国家を通じて、市場の不安定性から人々の生活を保障しつつ、同時に生活への介入を制限する、制度や社会的規範を構築する不断の取り組みこそが、私たちの課題である。

<坂倉 昇平 氏 プロフィール>

NPO法人POSSEが出版する雑誌『POSSE』編集部

http://www.npoposse.jp/magazine/

坂倉氏によるツイッター

http://twitter.com/magazine_posse

『POSSE vol.8』■特集 マジでベーシックインカム!?

http://npoposse.jp/magazine/no8.html

【2】BIニュース

ジャパンタイムズでベーシックインカムが取り上げられました

2010年10月17日(日)のジャパンタイムズの記事で、ベーシックインカムが取り上げられました。

http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/fd20101017bj.html

岩田渉さんが下記の翻訳をしてくれました。

http://wtr000.blogspot.com/2010/10/blog-post_22.html

バートランド・ラッセルやアンドレ・ゴルツといった欧米の権威ある哲学者、そして、国内では週刊エコノミストを例にあげて、読者が受け止めやすい論の展開をしています。

ベーシックインカムが苦手な方にでも勧めやすい記事です。

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発行 : ベーシックインカム・実現を探る会、編集長:野末雅寛

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