ＢＩメールニュースNo.025　 2009.12.5発行

【1】ベーシック・インカムはバラマキなのか　（三）　　　　　関　曠野

【2】「ベーシック・インカムのある社会を構想する― 実現の可能性は？―」

ゲストスピーカー　小沢修司

【3】BIニュース　ベーシック・インカム関連本の出版ラッシュ

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私たち「ベーシックインカム・実現を探る会」は、政治的に中立の立場で、「すべての個人への無条件な所得の保証」というベーシックインカムを実現につなげる提言を発信します。

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【1】 ベーシック・インカムはバラマキなのか　（三）

関　曠野（第一土曜日執筆）

先述したように近代経済においてはオートメ化と企業会計が原因となって生産と消費が均衡しなくなる。だがこの不均衡の最大の原因は銀行マネーである。銀行は生産と消費の均衡など眼中になく自分の利害だけでマネーを売り、しかもその銀行マネーが経済の９０％以上を動かしている。バブル期に銀行がヤクザや地上げ屋に見境なく融資して社会に迷惑をかけたことは記憶に新しい。

近代経済は信用ー未来の次元を含む時間差のある交換ーなしには動いていかない。しかし問題は、銀行が信用の管理を独占して営利目的のビジネスにしていることである。生産されたものが消費される経済循環を促進するマネーの働きは、ある意味で道路や橋に喩えることができよう。ところがどこかの企業が道路や橋の上に関所を作り、人々から通行料を徴収したらどうだろう。銀行による資本の使用料の徴収はまさにそうしたもので、銀行の仕事は私企業による企業や大衆に対する課税なのである。しかも銀行はその資産であるローンをパソコンのクリックひとつで無から費用ゼロでつくりだす。

さらに銀行からの負債には利子が付く。利子には実体経済上の根拠が全くない。利子には生産された富の裏付けがないのだから、利払いのためには搾取や収奪で人の富をもぎとるか、返済のためにまた利子つきの借金をして多重債務状態になるほかはない。こうして利子の重みで経済が押し潰された状態が恐慌（負債デフレ）である。

通貨と信用は経済における道路や橋に等しいのだから、これは本来政府が公益事業として管理すべきものなのである。政府が利子なしで発行する通貨が、銀行券（利子付き負債）に取って代わるべきなのだ。この政府通貨が企業に融資された場合でもやはり返済は必要だが、それは借金の取立てではなく、通貨を回収してその過剰供給によるインフレの発生を防ぐための措置である。だから容易に返済できない企業が出てきても返済条件の再交渉はいくらでも可能な筈である。

政府通貨はベーシック・インカムと一体になって生産と消費を均衡させる。すなわち政府通貨の発行は所得保証の財源という問題をかわすための奇策などではない。

＜関　曠野　氏　プロフィール＞（第一土曜日執筆）

1944年東京生まれ。早稲田大学文学部卒業後、共同通信社記者を経て1980年より文筆業に専念。専門は思想史、教育論。著書に『プラトンと資本主義』『ハムレットの方へ』(共に北斗出版)、『民族とは何か』(講談社現代新書)など。

2009年3月8日の当会主催の勉強会で「生きるための経済」を講演。

講演録

http://bijp.net/transcript/article/27

質疑応答

http://bijp.net/transcript/article/79

【2】BIニュース

ベーシック・インカム関連本の出版ラッシュ

１１月下旬に下記の三冊が、一挙に出版されました。いずれもベーシック・インカムを主題としており、機運が高まっていることを痛感させます。

『貧困を救うのは、社会保障改革か、ベーシック・インカムか』橘木俊詔・山森亮　対談

http://www.jimbunshoin.co.jp/mybooks/ISBN978-4-409-24084-7.htm

格差、貧困、福祉、労働…、いま日本において緊急かつ最重要の問題をめぐる、ベテランと新鋭、二人の経済学者による白熱の対話。

『働かざるもの、飢えるべからず』小飼 弾　著

http://www.samgha.co.jp/products/shinkan/hatarakazaru.html

所有から利用へ。ベーシックインカム+相続税１００％+エネルギーフリー　A・スマナサーラ師との対談を特別収録

「希望」論～一瞬に目覚めて生きるために～堀江貴文　著

http://www.samgha.co.jp/products/shinkan/kibouron.html

社会の改革論、ベーシック・インカムから、人間の心の底まで、いまだから語れる「希望」の姿。

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発行 : ベーシックインカム・実現を探る会、編集長:野末雅寛

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