ＢＩメールニュースNo.051　 2010.6.12発行

【1】『BIは行政の福祉業務をどう変えるか？』　 　　　曽我逸郎

【2】BIニュース

田村哲樹さんの論文が公開されています

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私たち「ベーシックインカム・実現を探る会」は、政治的に中立の立場で、

「すべての個人への無条件な所得の保証」というベーシックインカムを

実現につなげる提言を発信します。

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【1】『BIは行政の福祉業務をどう変えるか？』

曽我逸郎

フリーター全般労組が催した『自由と生存のメーデー』の集会で、自身の生活保護申請をビデオ撮影して「職務強要罪」に問われ逮捕された"Ａ君"の報告があった。この逮捕はあんまりだとしても、行政窓口での「無慈悲な福祉切り」が、「水際作戦」と揶揄されしばしば非難される。町村は、自前の福祉事務所を持たず、県の福祉事務所へ仲介する立場にあるが、行政の一端を担っている者としてこの件に関連して若干述べたい。

現在の福祉制度では、行政の担当者は、まじめであればあるほど申請を根掘り葉掘り調べて、嫌われ者になる他はない。柔軟な対応は、恣意的な公金支出になってしまうからだ。行政は、平等公平、説明可能性を重視する。(ひねくれて見れば、追求されることを懼れ、言い訳のできる仕事の仕方が染み付いている、とも言える)

今の福祉制度は、女性の無給の家事労働に支えられながら、男性がフルタイムの正規労働者として稼ぎ、企業の福利厚生等も活用し、家族を扶養するという、時代遅れのイメージを背景に持つ世帯主義だ。完全雇用など昔の夢幻となったにもかかわらず、働けるものは働いて稼げと言われ、本当に働けないのか調査される。不仲の係累でも、扶養できないか調べられる。

こうした審査を嫌って、受給資格があるのに申請しない人も多い。そもそも制度を知らない人もいる。鬱病などで申請できない状態の人もいる。こうした人たちが受給できない一方で、表向き所得のない暴力団関係者が申請することもある。申請主義には、こういう問題がつきまとう。

また「善良なる市民」は、巨悪には鈍感でも身近な「不正」には手厳しい。受給者の個別の事情などおかまいなく、例えば、「あの人は母子手当をもらっているが、愛人がいるようだ」と通告する。役場としては、調べに行かざるを得ない。

しかし、BIであれば申請は無用、すべての個人に100％支給される。母子家庭に愛人がいるか問いただすといった恥ずかしい不毛な仕事もなくせる。行政手続きがシンプルになり、無駄が減る。BIにはこういうメリットもある。

＜曽我逸郎　氏　プロフィール＞

釈尊の教えを考えることがライフワーク。 http://www.dia.janis.or.jp/~soga/

人の世の苦を減らす術の研究も、テーマのひとつになってきた。信州伊那谷の中川村にIターンして、思いがけない縁で村長をしている。

参考：長野県上伊那郡中川村

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%B7%9D%E6%9D%91

【2】BIニュース

田村哲樹さんの論文が公開されています

ベーシックインカム論者の田村哲樹さんの論文『熟議民主主義とベーシック・インカム：福祉国家「以後」における「公共性」という観点から』がウェブ上で公開されています

http://hdl.handle.net/2065/6632

田村哲樹さんはブログやツイッターでも情報発信しています。

ブログ

http://d.hatena.ne.jp/TamuraTetsuki/

ツイッター

http://twitter.com/ttya70

田村さんは『日本の論点2010』でベーシックインカムを紹介する記事を執筆しています。反対論の立場から執筆した濱口桂一郎さんと比較して読むと、ベーシックインカムについての理解が深まります。

下記のブログはその要点をまとめています。

田村哲樹vs濱口桂一郎in『日本の論点 2010』－ベーシック・インカムについて②

http://blog.goo.ne.jp/sinceke/e/cabce26ca86d74294590366e019e4462

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発行 : ベーシックインカム・実現を探る会、編集長:野末雅寛

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