BIメールニュースNo.054  2010.07.03発行 バックナンバー

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BIメールニュースNo.054  2010.7.3発行

【1】『メンテナンス経済に向けて (三)』     関 曠野

【2】BIニュース

ベーシック・インカムに賛成の参議院選挙立候補者が反対を上回る

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私たち「ベーシックインカム・実現を探る会」は、政治的に中立の立場で、「すべての個人への無条件な所得の保証」というベーシックインカムを実現につなげる提言を発信します。

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【1】『メンテナンス経済に向けて (三)』

関 曠野

先進諸国では戦後の高度経済成長は1970年代に終わった。そしてレーガン・サッチャーの80年代に始まる銀行からの借金が頼りの「負の成長」がついに破綻した結果が現在の恐慌である。それなのに政治家たちは性懲りもなく「新しい経済成長戦略を」などと叫んでいる。これはもう狂気の沙汰と言うしかない。

だが政治家だけを批判する訳にもいかない。前に書いたように、経済成長に代わる経済の原則が不明なままで明確に定式化されてこなかったことが時代の混迷の根本原因なのである。その不明だった原則を私は改めてメンテナンスとして定式化する。これは私の孤立した考えなのだろうか。そこで広い世界には自分と似た考えの人が一人くらいはいる筈だと思ってネットで検索してみたら、やはりいた。

アメリカのケン・インガムという人で、そのブログに The maitenance economyというエッセーを書いている。

http://www.nethingham.org/essays/maintenance.htm

学者ではなく芸術家肌の人で今はシンガー=ソングライターのようなことをしているらしい。そしてこの人の具体的で説得力のある論にはいろいろ教えられるとことがあった。維持と修復と保全の経済では人々は浪費を嫌い、家でも道具でもできるだけ直して永く使おうとする。そして修理や修繕はオートメ化できない以上、経験やカンがものを言う職人芸の世界であり、大企業には出る幕はない。だからこの経済においては職人芸が売りものの地域の中小企業が主役になる。そして今日の商品は大企業にとっての生産効率の観点からデザインされているが、この経済においては修理しやすいデザインが評価の基準になる。

また修理修繕や維持管理はロボットにはできないのだから、メンテナンス経済では雇用が増える。ロボットの効率に代わって人間の技能の尊厳が復活する。そしてインガムは「どんな経済でもその中心には教育がある」と言い、子供たちはその個性や好みに応じて何かの修理が得意になるように教育されるべきだと論じている。そういう教育は子供たちをたんなる消費者ではない賢明な市民に育てるだろう。経済を生産・消費ではなくメンテナンスという視点で捉えなおすと別の世界が見えてくるということである (続)

<関 曠野 氏 プロフィール>(第一土曜日執筆)

1944年東京生まれ。早稲田大学文学部卒業後、共同通信社記者を経て1980年より文筆業に専念。専門は思想史、教育論。著書に『プラトンと資本主義』『ハムレットの方へ』(共に北斗出版)、『民族とは何か』(講談社現代新書)など。

2009年3月8日の当会主催の勉強会で「生きるための経済」を講演。

講演録

http://bijp.net/transcript/article/27

質疑応答

http://bijp.net/transcript/article/79

【3】BIニュース

ベーシック・インカムに賛成の参議院選挙立候補者が反対を上回る?

立候補者意識調査「ベーシック・インカム導入に 」

- 参議院選挙2010 - 政治 - livedoor ニュース

http://politics.news.livedoor.com/election2010/question/?q=10

どのような調査手法をとったのかは不明ですが、ベーシック・インカムに賛成の参議院選挙立候補者が反対を上回るという結果が出ました。

新党日本に所属していた有田芳生さんがベーシック・インカムに賛成というのは理解できるのですが、昨年の衆院選では、部分的ベーシック・インカムとも言える「給付付き税額控除」にすら賛成していなかった国民新党からも賛成者が出るなど、真意が理解出来ない面も見られます。

昨年の衆院選ではベーシック・インカムを匂わせる「ミニマム・インカム」を公約に掲げていたみんなの党から賛成者が多く出ているのは、一定の傾向性は出ているとも言えるのですが、渡辺喜美氏や浅尾慶一郎氏など、みんなの党の幹部議員が部分的ベーシック・インカムとも言える子ども手当に反対しているところを見ると、どこまで信用して良いものか不明な点もあります。

私はその点をツイッターで問い合わせたことがあるのですが、回答がありませんでした。ちなみに今回のアジェンダでは、「ミニマム・インカム」と「給付付き税額控除」については記載している一方で、やはり子ども手当には抜本見直しとしています。

「給付付き税額控除」に関しては、昨年の衆院選では、自民党・公明党・民主党・社民党がマニフェストに記載していましたが、今回は、公明党と社民党はそれを記載していますが、自民党と民主党はそれを撤回しました。

参考資料

みんなの党アジェンダ

http://www.your-party.jp/policy/manifest.html

公明党マニフェスト

http://www.komei.or.jp/policy/various_policies/pdf/manifesto2010_a4.pdf

社民党マニフェスト

http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/election/2010/images/manifesto10.pdf

自民党マニフェスト(テキスト版)

http://www.jimin.jp/jimin/kouyaku/22_sensan/pdf/j_file2010.doc

民主党マニフェスト

http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2010/data/manifesto2010.pdf

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