BIメールニュースNo.061  2010.08.21発行 バックナンバー

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BIメールニュースNo.061  2010.8.21発行

【1】ベーシックインカムの政治論・番外編(6)

~~「POSSE」vol.6号の批判に応答する~~

ベーシックインカム・実現を探る会 代表 白崎一裕

【2】BIニュース

『田中康夫のにっぽんサイコー!』にベーシック・インカム研究所が登場

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私たち「ベーシックインカム・実現を探る会」は、政治的に中立の立場で、

「すべての個人への無条件な所得の保証」というベーシックインカムを

実現につなげる提言を発信します。

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【1】ベーシックインカムの政治論・番外編(6)

~~「POSSE」vol.6号の批判に応答する~~

ベーシックインカム・実現を探る会 代表 白崎一裕

そろそろ、錦織さんの問題提起を受けた応答を終わりにしたいと思う。錦織さんとは、その問題意識において共有する部分も多かったが、やはり結論の部分でお互いの道行きが違うようだ。

錦織さんは、ヨーロッパなみの福祉国家も達成されず労働運動の課題も共有されていない日本社会の現状ではベーシックインカムの議論は新自由主義の先棒を担ぐだけである、といわれている。しかし、BIの議論が盛り上がってきた理由としては、べヴァリッジ型の福祉国家の限界や認知資本主義の展開による労働と生活の境界領域の不明瞭化およびワーキングプアの増大という従来の労働運動の枠組みを逸脱する課題が登場してきたからではないだろうか。

この認識の上にたった戦略とは、福祉国家の充実や労働運動の進展を待つのではなく、BI運動の展開と同時に福祉国家と従来の労働運動を超える道を模索することなのだ。その模索は、BI運動はどのような政治・社会運動と組み合わせて試行されるべきなのか?ということから始まるだろう。

私の立場では、BI運動は通貨改革と連動してこそ意味があり、それは貨幣における正義を追求しその暴力性を克服することにある。そもそも貨幣経済の発達は、人間の未来への「自由」を促すものであったが、そこには「もつもの」と「もたざるもの」の分裂が生じ、貨幣は資本として集中し暴力性を帯びるようになった。この暴力性が深刻なのは、自由や民主主義そして人権という考え方を「タテマエ」として無効にするということなのだ。

ここには「金がなけりゃ何もできない」という思想的退廃を生む要因がある。BI運動は、歴史上現れた、自由・民主主義・人権の質を高め、問い直すものでなければならない。その萌芽はあるのだろうか。

参考になるのは、ラテンアメリカの民衆の挑戦だ。たとえば、ブラジルのポルトアレグレ市の「参加型予算編成」である。同市では、住民自身の手で予算の審議、決定、実施がおこなわれている。予算審議会には多くの市民が参加し、教育・水道・保険医療・交通などの予算の優先順位が審議されていく。この予算案に市は拒否権をもつが、市民審議会も拒否権を無効にできる権限をもつ。あくまでも、対等なパートナシップをとりつつ「参加・連帯」の社会のありかたが模索されているのだ。

この試みは、ブラジルの他の都市でも採用され、参加型民主主義は、ペルーやアルゼンチンにも広がりをみせている。もちろん、課題は山積でうまくいっていることばかりではない。しかし民主主義的統治を市民・住民が自ら担うなかで貨幣のありかたを主体的に変革する試みとして注目したい。この試みは日本にもあり、埼玉県志木市、鳥取県智頭町、京都府京丹後市などの「市民作成予算」の例がある。上記から学ぶべきことは、BI運動は通貨改革とも連動しなければならないが、それは民主主義の再構築・再定義運動とも連動しなければならないということなのだ。

(ポルトアレグレの例などは『安心社会を創る―ラテン・アメリカ市民社会の挑戦に学ぶ』篠田 武司 , 宇佐見 耕一 編集 ・新評論による)

参考

雑誌『POSSE VOL.6』ようやく完成!注文受付開始

http://blog.goo.ne.jp/posse_blog/e/0e03bc9febf82eaca30d44f3aaa15f36

NPO法人 POSSE

http://www.npoposse.jp/

<白崎一裕 氏 プロフィール>(第三土曜日執筆)

ベーシックインカム・実現を探る会 代表。

「とちぎ教科書裁判通信」

http://kazuhihi.blog39.fc2.com/

【3】BIニュース

『田中康夫のにっぽんサイコー!』にベーシック・インカム研究所が登場

8月21日の22:00に放映予定の『田中康夫のにっぽんサイコー!』にベーシック・インカム研究所代表の新田ヒカルさんと、研究員の星飛雄馬さんが出演します。両者は、『やさしいベーシック・インカム』の著者でもあります。

地上波のニュース番組などで部分的にベーシック・インカムを取り上げられるのではなく、一回の放送まるまる約30分間、ベーシック・インカムについて語っています。

ベーシック・インカム研究所での紹介

http://blog.basicincome.jp/?eid=917753

また、この番組は、ベーシックインカム・実現を探る会の代表である白崎一裕さん

も「ベーシックインカムこそ究極の日本改革」(2010/5/22)で出演しています。

http://www.youtube.com/watch?v=exhc4lt7ETY

田中康夫さんが代表を務める新党日本は、ベーシック・インカムを公約に掲げてお

り、衆議院でも質疑に出している話題です。

第174回国会 衆議院予算委員会 2010/02/26

http://www.youtube.com/watch?v=kdPlMBwSE8U

http://www.youtube.com/watch?v=f7CKKCpwMTE

第175回臨時国会 衆議院予算委員会 2010/08/02

http://www.youtube.com/watch?v=JTHxxWpXxow

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発行 : ベーシックインカム・実現を探る会、編集長:野末雅寛

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