BIニュース Vol.2 2009/5/28号

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前回、経済財政諮問会議で「給付付き税額控除」が提言されたことをご紹介しましたが、安心社会実現会議でも議題に取り上げられそうです。「給付付き税額控除」は、実現への道をどんどん歩み続けています。

雇用保険・健保、非正規労働加入しやすく 安心会議報告書原案

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090528AT3S2702N27052009.html

政府の「安心社会実現会議」(座長・成田豊電通最高顧問)が6月にまとめる報告書の原案が27日、明らかになった。非正規労働者を対象に雇用保険、健康保険、厚生年金の各制度への加入要件緩和を提唱。企業の保険料負担が増える分、法人税率を引き下げるよう求めている。働く世代の安全網を拡充し社会の活力を維持する狙い。低所得者に現金を給付する「給付付き税額控除」の導入も提言している。

社会保障を中心とした中長期的な国家戦略を検討する同会議は麻生太郎首相の指示で4月に議論を開始。報告書に盛り込んだ内容は、経済財政運営の基本方針「骨太方針2009」や、与党の次期衆院選のマニフェスト(政権公約)に反映させる方針だ。

これだけ見ると、ベタ記事のように見えるのですが、実はこの記事は、今朝の日経の一面のトップ記事だったのです。以下、見出しとリード文、そして「給付付き税額控除」に関する記述部分だけ手打ちで引用させていただきます。

見出し

非正規労働の安全網拡充 安心実現会議報告書原案 雇用保険加入を緩和

リード文

社会保障を中心とした中長期的な国家戦略を検討する政府の「安心社会実現会議」(座長・成田豊電通最高顧問)の報告書の原案が27日、明らかになった。格差の固定化を防ぐために、非正規労働者への雇用保険、健康保険、厚生年金の各制度への加入要件緩和を提唱。それに伴う企業負担が増加分を法人税の引き下げなどで確保するよう提言した。所得税の減税効果が及ばない低所得者に現金を給付する「給付付き税額控除」の導入も求めた。

「給付付き税額控除」に関する記述部分

「給付付き税額控除」は低所得の勤労者や子育て世代が対象となる。所得が所得税の課税最低限を割り込み、減税の恩恵を受けられない世帯に現金を給付し、所得が増えるにつれて減税による支援に切り替える仕組み。生活必需品の消費税負担の軽減などの効果もあり、欧米や韓国ではすでに導入済みだ。

「給付付き税額控除」が当然のものとして受け入れられつつあります。衆院選でどこが勝っても、これは実現しそうです。BI実現はすでに道半ばに来ているのかもしれません。そして、下記の首相官邸のホームページアドレスでは、議事次第が公開されています。

安心社会実現会議―第4回議事次第―
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ansin_jitugen/kaisai/dai04/04gijisidai.html

その中の「資料3 意見集約(素案)」では上記の日経新聞ほど具体的な説明がないのが残念ですが、「給付付き税額控除」について言及されています。以下、引用します。

真面目に汗を流して働いているのに生活が厳しくなるばかり、ということがあってはならない。ワーキング・プアと呼ばれる低所得層に対しては、働く見返りを高める仕組みとして、勤労所得に対する給付つき税額控除の導入が求められる。また、非正規労働者への雇用保険、厚生年金、健康保険の適用拡大も必要である。この場合、企業負担の増大に対しては法人税の引き下げなどで調整する。

(資料3 意見集約(素案)、4ページ)

「社会保障国民会議」が提起した「次世代支援新システム」の構築をすすめ、子育てを社会全体で支援する制度条件の整備を急ぐ。

母子家庭における子どもの貧困率が6割を超えていることは看過できない。人生のスタートラインにおける格差が世代を超えて固定化されることは、日本社会から夢を奪い活力をそぐ。低所得世帯と並んで、子育て世帯に対して給付つき税額控除が導入されるべきである。

(資料3 意見集約(素案)、4ページ)


資料3 意見集約(素案)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ansin_jitugen/kaisai/dai04/04siryou3.pdf

議事録は後日公開されるようなので、公開され次第、こちらでも紹介します。それにしても、このような画期的な動きが出ているというのに、記者会見では、厚生労働省の分割にばかりスポットライトが当たり、マスコミは私たちの暮らしへの関心が低すぎます。

厚労省分割・再編「こだわってない」28日の首相
http://www.asahi.com/politics/update/0528/TKY200905280281.html

さて、「安心社会実現会議」についてですが、下記のブログによれば、今年の4月に開設されたばかりの会議で、構造改革路線からの反転を表す意味づけがあるようです。
http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2009-04-14

後日、詳しく取り上げますが、元来、民主党が「給付付き税額控除」を提言していたのですが、政府がそれをパクったと見ることも可能でしょうが、いずれにしても、「給付付き税額控除」が実現して、ベーシック・インカムへの道筋が整うのは画期的なことです。 この方向が、これからも前進していくことができるかどうか、フォローアップしていきます。

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