BIメールニュースNo.023 2009.11.21発行
【1】『ベーシックインカムの政治論 その3』 白崎一裕(第三土曜日執筆)
【2】BIニュース 金融恐慌の発信源であるアメリカの深刻な経済現況
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私たち「ベーシックインカム・実現を探る会」は、政治的に中立の立場で、「すべての個人への無条件な所得の保証」というベーシックインカムを実現につなげる提言を発信します。
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【1】 『ベーシックインカムの政治論 その3』
ベーシックインカム・実現を探る会 代表 白崎一裕
10月24日深夜に放送された「朝まで生テレビ!」は、若者論ということで議論されたらしい。そこで、若手の批評家・東浩紀氏が、ベーシックインカム(以下BI)の提言をして、番組の議論ももちろんだが、ネット上でのBI論議が急速に盛り上がったようだ。
東氏は、そのことを「週刊朝日」(2009年11月13日号)の自ら執筆する連載「東浩紀の批評するココロ」で振り返り、番組では、オープンガバメント(行政の透明化)やBIの議論の先にみえる民主制をラジカルに変革する理想社会の像を語ったと言っている。私は、この理想社会の根拠にBIを位置付けたところに共感を覚えた。民主主義の変革とBIは密接につながっているのだ。それは、BIの財源に公共通貨をあてる際には、通貨改革が必然的に伴うということと関連している。
現在の民主主義の欠陥の一つは、通貨改革の本丸である銀行について、その民主主義が何も機能していないということにある。過去、りそな銀行や足利銀行が破たんをした際に1兆円を超える「公的資金」と称するものが、預金保険法102条を根拠にしてもっともらしく注入された。しかし、この「公的資金」とは何なのか納得のいく説明があっただろうか?また、銀行の破たんの経緯やその原因などの説明責任が果たされたのだろうか?その答えはNO!だ。こういう「マネー」の問題をうやむやにする政治のありかたは民主主義とは程遠いと言わなければならない。銀行マネーを市民・人民がコントロールできない社会では、民主主義は実現しない。
それでは、どのような改革案が望ましいのだろうか。その改革案の実例は、関曠野氏の「生きるための経済」の講演録にでてくるノースダコタ銀行、スイスの地域通貨WIR銀行、スウェーデンのJAK会員銀行などの地域住民や市民がコントロールする「もうひとつの銀行」に豊富にある。たとえば、ノースダコタ銀行は、アメリカで唯一の州立銀行で、1919年に農民たちが、自分たちの生産したものが金融に翻弄されることから脱却するために、自らの信用機関をもつという志のもとに設立された伝統をもつ。この銀行では、利子は銀行の利潤としてとられるのではなく、州の予算を安定化させるために使われる(もちろん、低利である)。そして、銀行融資は、州の農家の補助や教育のための資金等々「公的」な領域を中心にしておこなわれる。利子つき負債のマネーではなく、公共財としてのマネーを運用する銀行として存在しているのだ。
(この稿、続く)
参照:関 曠野 講演録「生きるための経済」ノースダコタ銀行の例
http://bijp.net/transcript/article/27#chap023
<白崎一裕 氏 プロフィール>(第三土曜日執筆)
ベーシックインカム・実現を探る会 代表。株式会社 共に生きるために 代表取締役
【2】BIニュース 金融恐慌の発信源であるアメリカの深刻な経済現況
今回は、ベーシック・インカムとは異なる話題ですが、深く関連するアメリカ経済のニュースです。
アメリカ労働省が11月6日に発表した10月の失業率は、前月比0.4ポイント悪化し、10.2%となりました。これは83年4月以来、26年半ぶりの高水準で、世界中に衝撃を与えました。
下記は、アメリカの属性別失業率を分析したデータです。若年層は平均16.7%と深刻な数値が出ています。
http://www.garbagenews.net/archives/1110056.html
さらに、上記のデータを裏付けるニュースがありました。8人に1人が食糧配給を受けているというのは衝撃的ですが、これもまた、ベーシック・インカムを推し進める材料になるかもしれません。
職なく食なし 頼みは配給券
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/091117/fnc0911170942008-n1.htm
「米政府が低所得者を対象に発行する食料配給券(フードスタンプ)の受給者数が8月に過去最高の約3650万人に達した。米国民の8人に1人がフードスタンプを受け取った計算になる。」
「子供の食事まで制限せざるを得ない世帯が50万6000世帯に達し、前年比56.7%も増加していると指摘。『通常は保護されるはずの子供まで、食料を確保できないケースが増えている』と警告した。」
記事のソースとなった米農務省(USDA)の文書
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