BIメールニュースNo.024 2009.11.28発行
【1】『農山村を活性化するベーシックインカム』 曽我逸郎
【2】BIニュース
OECDが日本政府に給付付き税額控除を提言、子ども手当てには消極的?
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私たち「ベーシックインカム・実現を探る会」は、政治的に中立の立場で、
「すべての個人への無条件な所得の保証」というベーシックインカムを
実現につなげる提言を発信します。
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【1】『農山村も都市も活性化するベーシックインカム(BI)』
長野県上伊那郡中川村 村長 曽我逸郎
農山村の状況は大変厳しい。都市部の若者と同様、市場原理主義経済が投資効率のみを追求することの犠牲にされてきた。暮らしの窮状のみならず、農地も山も川も荒れ、伝統文化も失われつつある。早く状況を好転させなければ手遅れになる。
しかし、農山村が元気を回復できれば、人間らしさを失った都市の生活をも救えるかもしれない。双方に画期的な効果をもたらすのではないかと期待しているのがBIだ。その点は中川村HPにも書いている。
http://www.vill.nakagawa.nagano.jp/intro/v_chief.html
BIの実行可能性については、小沢先生などのシミュレイションによって理解が広がっている。しかし、今のシステムからBIへどのように移行できるのか、初めはイメージできなかった。だが、市場原理主義経済の弊害が明らかになるにつれ、その対策としてBI的な制度が語られ始めた。子ども手当などがその一例だ。完全BIのいきなりの開始は無理でも、BI的な仕組みを拡充していくことでBIに近づいていくことができる。
ただ、それでは時間がかかる。残り時間の少ない村の窮状に対処するためには、国の対応を待つばかりではなく、中川村単独でBI的な制度を導入し、儲からないのは承知で農地の保全に汗を流すお年寄りや新規就農者を応援できないか。
そこで知ったのが地域通貨だ。村税や水道料、保育料など、村への支払いに使えることにして通貨としての価値を担保する。しかし、発行してもそのまま村への支払いになれば村の歳入を減らすだけだ。村内を巡って村経済を活性化するように制度設計を行わねばならない。そのためには、給与の一部を地域通貨で支払えるようにする必要があるだろうし、役場労組はじめ、村内被雇用者の理解が必要だ。村商工会は賛同してくれそうに思う。ゲゼルの「自由貨幣」も参考になるかもしれない。
しかし、一番の問題は、国の法律だ。特例を認めてくれるだろうか。地方自治体が通貨を発行することは地方分権の最先端だ。民主党にはBIに理解のある人もいると聞いている。第二のヴェルグル町とまでは言わないが、逼塞した経済を打開する実験として、人口5350の中川村は適当ではないだろうか。
ともあれ、BIは発想を格段に広げてくれる。多くの方から助言を頂き、はつらつと人生を歩める世の中になるように模索を続けたい。読者のご提言を期待する。
<曽我逸郎 氏 プロフィール>
釈尊の教えを考えることがライフワーク。 http://www.dia.janis.or.jp/~soga/
人の世の苦を減らす術の研究も、テーマのひとつになってきた。信州伊那谷の中川村にIターンして、思いがけない縁で村長をしている。
参考1:長野県上伊那郡中川村
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%B7%9D%E6%9D%91
参考2:ヴェルグルのスタンプ通貨
http://bijp.net/transcript/article/98#chap010
【2】BIニュース
OECDが日本政府に給付付き税額控除を提言、子ども手当てには消極的?
OECDが日本政府に給付付き税額控除を提言したことを琉球新報が報じています。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-153135-storytopic-11.html
本家本元のOECDのサイトに資料が掲載されていました。
http://www.oecdtokyo.org/theme/macro/2009/20091118sgseminar.html
おそらくこれが元ネタでしょう。小冊子では子ども手当てよりも子育て施設だろうと提言してありましたが、スピーチの方では、子ども手当てにより内需が刺激されると言っていて、若干のニュアンスの違いがあります。
小冊子では給付付き税額控除について、かなり踏み込んで提言していましたが、スピーチではEITCという単語がありませんでした。
グリア事務総長スピーチ
http://www.oecd.org/document/5/0,3343,en_2649_34487_44088581_1_1_1_1,00.html
小冊子『日本の政策課題達成のために:OECDの貢献』(PDFファイル)
http://www.oecdtokyo2.org/pdf/theme_pdf/macroeconomics_pdf/20091118contributionjpn.pdf
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