BIメールニュースNo.033  2010.02.06発行 バックナンバー

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BIメールニュースNo.033  2010.2.6発行

【1】『近代租税国家の終焉』                  関 曠野

【2】BIニュース 1月9日付の日経新聞の夕刊コラム「社会保障ウォッチ」

小沢修司氏のベーシック・インカムの財源論が紹介されました

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私たち「ベーシックインカム・実現を探る会」は、政治的に中立の立場で、

「すべての個人への無条件な所得の保証」というベーシックインカムを

実現につなげる提言を発信します。

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【1】『近代租税国家の終焉』

関 曠野

一昨年のリーマン・ショックに始まる今日の恐慌と1930年代の恐慌には何か違いがあるだろうか。どちらも資本主義の構造的な欠陥や矛盾が原因という点では違いはない。だが今の恐慌がダグラス少佐が社会信用論を提唱した当時とは異なる環境の中で発生していることも事実である。そして当時と今ではっきり異なるのは国家の役割だろう。30年代には政府による公共事業はある程度まで恐慌の緩和や克服に成果を上げることができた。だが今日では公共事業は国家の負債を増やしてデフレを悪化させるだけである。

言い換えれば、今世紀の恐慌は近代租税国家の危機と一体になっていて国家の破産や解体を促進しているのである。近代国家は租税国家である。この国家を正当化しているのは、国家は市民から取り立てた税金で経済発展のための環境を整備するから納税は結局市民の福利になるという理屈である。この理屈ゆえに政党による議会政治の課題は、予算の編成つまり徴税の仕方と税の使い方をめぐる論戦ということになる。

だが、もう順調な経済成長が期待できない世界ではこの国家はどうなるか。30年代には先進国でも国民の多くは農民で食糧など自給が可能であり、また国家には社会保障費などの重圧もなかった。しかし今は事情が一変している。現代国家が景気刺激策をやれば厖大な国債の発行で国の負債がふくらみ国家破産の恐れが高まる。といって増税や財政支出の削減をやれば景気はさらに落ち込む。税と国債が国家の財源であるかぎり、日本でもどこでも政府はにっちもさっちもいかない。だがこのジレンマは簡単に解決できる。要するに政府は銀行を公有化して公共の利益のために超低利子で金を社会に融資し、その利子収入を国庫の収入にすればいいのである。

問題は、先述したように政党による議会政治は租税国家と制度的に一体なので、そこから銀行公有化の動きが出てくる可能性がきわめて低いことである。だがこの問題は別にして、租税国家の終焉という現実がある以上、消費税などを財源にベーシック・インカムを実現するといった議論は現実とズレていることは明らかだろう。

<関 曠野 氏 プロフィール>(第一土曜日執筆)

1944年東京生まれ。早稲田大学文学部卒業後、共同通信社記者を経て

1980年より文筆業に専念。専門は思想史、教育論。

著書に『プラトンと資本主義』『ハムレットの方へ』(共に北斗出版)、

『民族とは何か』(講談社現代新書)など。

2009年3月8日の当会主催の勉強会で「生きるための経済」を講演。

講演録

http://bijp.net/transcript/article/27

質疑応答

http://bijp.net/transcript/article/79

【2】BIニュース 1月9日付の日経新聞の夕刊コラム「社会保障ウォッチ」

小沢修司氏のベーシック・インカムの財源論が紹介されました

1月9日付の日経新聞の夕刊コラム「社会保障ウォッチ」にて、小沢修司氏によるベーシック・インカムの財源論が紹介されました。

http://hayakawayukiko.blogzine.jp/blog/2010/01/post_1c45.html

こちらのブログは、日経新聞の記事を書いたフリーライターさんのブログで、それだけに、図版がないこと以外は正確に再録されています。

なお、この小沢氏の試算をシミュレーションしたツールが、エクセルファイルで公開されています。

http://www.geocities.jp/kajiwarapan/bi.html

独身者、片働き夫婦、片働き核家族という制限はありますが、年収・社会保険料・扶養家族数などを入力すれば、住民税を除いた概算のデータが得られます。

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