BIメールニュースNo.045  2010.05.01発行 バックナンバー

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BIメールニュースNo.045  2010.5.1発行

【1】『メンテナンス経済に向けて (一)』     関 曠野

【2】BIニュース

ベーシック・インカムが「コトバンク」に掲載されました。

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私たち「ベーシックインカム・実現を探る会」は、政治的に中立の立場で、「すべての個人への無条件な所得の保証」というベーシックインカムを実現につなげる提言を発信します。

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【1】『メンテナンス経済に向けて (一)』

関 曠野

今の世界恐慌の根本原因については、ダグラス少佐の分析の正しさが今後も日に日に現実によって証明されていくだろう。ということは、社会信用論が提唱する政府通貨と基礎所得保証なしには恐慌は打開されえないということである。

しかし現在の経済危機には、彼が二十世紀初頭に社会信用論を提唱した当時にはなかった諸要素が絡んでいることも事実である。例えば一世紀前には先進国も庶民が車を乗り回すような石油大量消費社会ではなかった。そして第二次大戦後の先進諸国の奇跡の繁栄の一因が、原油という魔法の資源が長らく水のように安かったことにあることは間違いない。だから今や切迫したピーク・オイル(原油生産の限界点)と共に経済成長が止まり経済がスローモーションで収縮していくことは避けられない。

こうしたことは有名なローマ・クラブ報告「成長の限界」が反響を呼んだ1970年代には殆ど論じ尽くされていた。そして石油ショックと共に先進諸国の経済は永続的な混迷に陥った。ところが各国の権力エリートはいわゆる「持続的成長」にすら満足せず、レーガン・サッチャー時代以降「何が何でも経済成長」の路線に執着してきた。その結果が、バブルが生じては弾けて後に負債が残り、実体経済を犠牲にして金融業界だけが肥え太る「負の経済成長」であり、目下の世界恐慌なのである。そして現存する負債の総額は全世界のGDPの総額の十五倍に達するそうである。

しかし人類はなぜ70年代に経済成長路線からの方向転換ができなかったのだろうか。思うに、それは脱成長社会の具体的なイメージがついに生まれなかったせいである。ゼロ成長とか定常状態経済といった言葉はあったが、これらは理論的な概念にすぎない。こんな学者用語は人々の生き方の指針にはなりえない。そこで私は改めて問題を提起したい。経済学や会計学では社会の現実を量として測る際に、それをフローとストックに分ける。このフローとストックという現実の捉え方は不完全なものではないかと問いたいのである。(続く)

<関 曠野 氏 プロフィール>(第一土曜日執筆)

1944年東京生まれ。早稲田大学文学部卒業後、共同通信社記者を経て1980年より文筆業に専念。専門は思想史、教育論。著書に『プラトンと資本主義』『ハムレットの方へ』(共に北斗出版)、『民族とは何か』(講談社現代新書)など。

2009年3月8日の当会主催の勉強会で「生きるための経済」を講演。

講演録

http://bijp.net/transcript/article/27

質疑応答

http://bijp.net/transcript/article/79

【2】BIニュース

ベーシック・インカムが「コトバンク」に掲載されました。

朝日新聞、朝日新聞出版、講談社、小学館などの辞書、事典52冊49万語から、用語を一度に検索できるサービスである「コトバンク」に、ベーシック・インカムが掲載されました。

http://kotobank.jp/word/%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%A0

「就労や資産の有無にかかわらず、すべての個人に対して生活に最低限必要な所得を無条件に給付するという社会政策の構想」という定義から始まり、メリット・デメリットについてもバランス良く取り上げています。さらに、歴史についても、『ベーシック・インカム入門』の内容を簡便にふまえており、ベーシック・インカムの理解の裾野が広がってきていることが分かるニュースでした。

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発行 : ベーシックインカム・実現を探る会、編集長:野末雅寛

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