BIメールニュースNo.058  2010.07.31発行 バックナンバー

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BIメールニュースNo.058  2010.7.31発行

【1】BIは適正な税制改革から

ベーシックインカム・実現を探る会 出版部 塩月 日佳(しおつき ひか)

【2】BIニュース

国会におけるベーシック・インカムの議論 柿沢未途議員

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私たち「ベーシックインカム・実現を探る会」は、政治的に中立の立場で、「すべての個人への無条件な所得の保証」というベーシックインカムを実現につなげる提言を発信します。

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【1】BIは適正な税制改革から

ベーシックインカム・実現を探る会 出版部 塩月 日佳(しおつき ひか)

昨年からずっとベーシックインカム(以下、BI)を広める活動に参加してきて、反対派の経済学専門の方と出くわす度に、よく主張されるのは「今の税制はめちゃくちゃ」という話です。菅総理の消費税増税発言でも、一斉に話題になりました。

そもそも消費税だけが増税されると、所得の低い人が多く負担しなければならないという逆進性が働きます。高率の消費税をかけるには、所得格差が少ない状況が必要です。みんなが同じような所得であれば、北欧のように消費税を高くして社会保障にかけることも納得できます。財政学者の神野直彦氏の岩波ジュニア新書『財政のしくみがわかる本』にはこう書いてあります。

本来、所得税は累進制、差別性、最低生活費免除という基本があります。

累進課税、最低生活費免除は既知のこととして、差別性とは、なんの財産もなく労働賃金だけで1000万円、広大な土地を持っていて地代だけで1000万円、または株式所得だけで1000万円という場合、同じ所得でも額に汗して1000万という人の方が、税負担能力が低いと考えられます。

ところが日本の税制では、所得税は累進的というよりは比例的な要素が強くなっています。高所得者は給与所得よりも利子所得や配当所得・不動産所得が多く、これらに関して分離課税が課され、累進税率の適用除外にしています。配当所得は、上場株式の場合10%、利子所得には20%と定率にしているので、配当所得・不動産所得に依存する高所得者の所得は、比例税率で課税されているという面があるのです。

これらに適正な累進課税を課するとすれば、日本は土地資産だけでもGDPの3倍近い1300兆円あると言われる点を踏まえると、投資対象となっている土地には適正な税をかけることが、ひとつの方法として考えられます。土地の値段が上がるのは、付近に道路などができ便利になったからです。税金によって公共の道路や線路・施設が作られて、土地の値段があがったところは税をかけて、公共の財産にもどす必要があります。

上記のような神野氏が指摘する税の再分配機能を無視してBIを実現することは、広がっている格差にゲタを履かせるだけの意味になります。税制格差を是正せず、配布されたBIがその後どうなるでしょう。インフレになり物価が上がりもっと基礎所得が必要になるだけではないかと考えられます。現在の金融崩壊も品不足になることを懸念されています。こういう状況でどんなBIが実践されるのがよいのか、もっと考える必要があります。

参考図書:岩波ジュニア新書『財政のしくみがわかる本』神野直彦 著

ベーシックインカム実現を探る会 出版部 塩月 日佳(しおつき ひか)

TwitterではPika2336で過激に発言中

http://twitter.com/Pika2336

【2】BIニュース

国会におけるベーシック・インカムの議論 柿沢未途議員

参議院選挙の前になりますが、平成22年5月14日の第174回通常国会衆議院厚生労働委員会-20号で、みんなの党の柿沢未途議員が、長妻昭厚生労働大臣に対して、ベーシック・インカムをめぐる質疑応答をしていますので、紹介いたします。

柿沢未途議員の発言

最近では、いわゆるベーシックインカムをめぐる議論が出てきています。最低所得保障の一種で、政府がすべての国民に対して、毎月最低限の生活を送るのに必要とされている額の現金を無条件で支給するという構想で、これは現実の施策として行うことには相当な無理があると思いますけれども、しかし、例えば民主党も、鳩山総理が政府税調に検討を指示したとされる給付つき税額控除、負の所得税、こういう考え方に立つ政策をこれから志向しているような部分も見られます。

そうであるとすれば、こういう議論を行う前提として、まず、モデル世帯の類型を幾つか置いて、人々が生活していく上での最低限の費用というのは今一体どの程度のものなのか、政府として試算を行っていく、そうするべき時期に来ているというふうに思うんですけれども、御見解はいかがでしょうか。

長妻昭厚生労働大臣の発言

これについては、政権交代後、私も、いわゆるナショナルミニマム、最低限度の生活水準ということで、その研究会を立ち上げまして、何度か御議論をいただき、この前も、生活保護の水準以下でお暮らしになっている方々が、機械的な推計も入っておりますけれども、どのくらいいらっしゃるのかという数値も公表させていただいたわけであります。

いずれにしましても、今回の児童扶養手当で、これだけで生活費が全部賄えるということでできた制度ではもちろんありませんけれども、今の時点では生活保護というのが最低限の生活費ということで、地域によってもその金額が違うということになっておりますが、これについてもう一度、基準なり最低限度の生活の考え方、それは金額だけで本当にいいのかどうかということも含めて、今、ナショナルミニマム研究会で検討して、中間報告を今後出していくという予定にしております。

柿沢未途議員の発言

今、ナショナルミニマム研究会で研究をしている、こういうお話でした。

いろいろ申し上げてきたんですけれども、この法案に反対をしようというつもりで言っているわけではありません。給付的生活支援施策が、この人も、あの人も、子供も、高齢者も、母子家庭ではなくて父子家庭もということで、ある種、建て増し建て増しをしてきた家みたいになってしまっていて、目指すべき政策目標が何なのかということに基づいた体系的な整理が必要な時期になっているのではないかと考えて質問させていただきました。

そういう意味で、最後に御答弁をいただいたまさにナショナルミニマム、私たちはミニマムインカムと呼び、学者の一部ではベーシックインカムと呼び、まあ、名前は何でもいいんですけれども、本当の意味で最低限生活に必要な費用、コストは何なのか、どの水準なのかということをこの際見きわめて、そして、足りない部分を補っていく、そうしセーフティーネットの再構築が今まさに求められていると思います。

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