BIメールニュースNo.084  2011.2.5発行 バックナンバー

バックナンバーの公開は発行後1ヵ月後になりますので、メールマガジンでのご購読をおすすめします。

BIメールニュースNo.084  2011.2.5発行

【1】自然権をめぐる問題点(2)

BI(ベーシック・インカム)メールニュース 編集長 野末 雅寛

【2】BIニュース  オレゴン州立銀行への動き

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII
私たち「ベーシックインカム・実現を探る会」は、政治的に中立の立場で、「すべての個人への無条件な所得の保証」というベーシックインカムを実現につなげる提言を発信します。IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
【1】自然権をめぐる問題点(2)
BI(ベーシック・インカム)メールニュース 編集長 野末 雅寛
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

前回は、自然権には二つの源流があり、個人の生命、身体、財産が不可侵である資本主義経済の担い手を擁護する側面と、人間が神意によって生きることを許された存在であり個人の自由と尊厳を尊重する側面があった。

この分裂は、女性の権利を擁護するフェミニズムにおいても文脈は異なるが、受け継がれている。大づかみに言えば、労働を通して自らを商品化することで経済の自由を獲得したり、政治的な自由を追求する権利と、逆に自らを商品化せずとも、家事や介護など女性ならではの仕事の尊厳を主張する権利、それぞれが希求されてきた歴史がある。

もう少し丁寧に追いかけると、昨年、日本社会福祉学会の学会賞を受賞した堅田香緒里氏の論文「ベーシック・インカムとフェミニスト・シティズン・シップ―脱商品化・脱家族化の観点から―」(『社会福祉学 50巻3号』2009年11月30日発行)においては、家族に頼らずとも自らを商品化することで自由を獲得することを目指す脱家族化と、逆に自らを商品化せず、市場に頼らずに生きていくことができる脱商品化との二律背反に悩んできた歴史があるようだ。

堅田氏は、この両方を同時に促すことができる政策構想としてベーシックインカム(BI)を提案している。一般的に、BIは脱商品化を促すとされているが、結局は女性を家事に幽閉するのではないかという批判が常にあったが、脱家族化をも促す側面もあるという。BIは無条件で一律に個人に支給されるため、夫のフルタイム労働に依存せずとも女性の経済的な自由が高まり、またそれゆえに労働市場においても相対的に女性の地位を向上させることができ、男女平等に資するところがあるからだ。

もちろん、BIさえ支給されればフェミニズムが追求するあらゆる問題が解決できるわけではないが、上記の効果を促す面はある。自然権はフェミニズムよりもさらに適用範囲が広い概念なので、BIさえあればその問題点が解決できるわけもないのだが、BIというフィルターを通して、フェミニズムが抱えていた難問を解決する糸口を見出すことができたように、自然権に属する謎を解明することができるのではないかと筆者は考えている。

<野末雅寛 プロフィール>BI(ベーシック・インカム)メールニュース 編集長 http://www.mag2.com/m/0000292484.htmlhttp://bijp.net/mailnews/http://twitter.com/nozuem

富山の片田舎で生活する環境で世界恐慌に直面して、自殺者増加を防ぐと同時に、画期的な起業・イノベーションをも促すBIの必然性を痛感しない日はない。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

【2】BIニュース  オレゴン州立銀行への動き

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

先週の記事ではワシントン州議会が州立銀行に関する法案を提出したことをお知らせしましたが、オレゴン州議会でも2011年の早い時期に、オレゴン州立銀行設立の法案が発表される予定があるようです。

Push begins to create an Oregon State Bank(オレゴン州立銀行設立を促進する動きが始まる)http://tinyurl.com/4mrjut5

法案全文 House Bill 2972 http://tinyurl.com/48maejr

上記の記事にもありますが、オレゴン労働者家族党がポートランド州立大学と共同して設立する組合が、オレゴン州立銀行の母体となります。

オレゴン労働者家族党 http://oregonwfp.org/

ポートランド州立大学 http://www.pdx.edu/

先週お知らせしたワシントン投資信託と同じく、モデルはノースダコタ銀行で、地域経済を発展させる役割を目指しています。

また、オレゴン州立銀行に向けて活動する組織のサイトは下記にあります。

Oregonians for a State Bank http://oregoniansforastatebank.org/

Oregonians for a State Bank(Facebook) http://www.facebook.com/oregonstatebank?v=wall

それにしても、アメリカの地方自治では、議員や行政以外にも立法の担い手が多々出てくるのですね。

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

○BIメールニュースは、ベーシックインカム・実現を探る会の活動情報などをお届けする無料のメールニュースです。まぐまぐで直接購読を申し込まれた方にお送りしています。

○登録・配信停止・アドレス変更はまぐまぐにてお手続きください。

○転載は大歓迎ですが、「ベーシックインカム・実現を探る会 BIメールニュースno.xxx」のようにクレジットを御記載ください。また 宛てに転載の旨、ご一報いただければ幸いです。

○みなさんのご意見をお待ちしています(800字以内でお願いします)。 不掲載をご希望の場合は、必ずその旨を明記して下さい。また、氏名、肩書きは、特にご指示がなければそのまま掲載します。イニシャル、匿名、ハンドルネーム使用の場合は必ず明記して下さい。なお、盗作、名誉毀損、人権侵害、差別的な記述などの投稿は、禁止いたします。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※     発行 : ベーシックインカム・実現を探る会、編集長:野末雅寛 http://bijp.net/ http://twitter.com/bi_jpCopyright(C)2009-ベーシックインカム・実現を探る会-All rights reserved.※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

トラックバック :