BIメールニュースNo.087  2011.2.26発行 バックナンバー

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BIメールニュースNo.087 2011.2.26発行

【1】ベーシックインカムの実現可能性とその根拠~後編~                             さとうしゅういち

【2】関曠野さんの講演録が公開されました「ベーシック・インカムについて考える」― マネーは何のためにあるのか ―

【3】BIニュースイオンが導入する電子マネー「ワオン」と地域通貨の連携

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私たち「ベーシックインカム・実現を探る会」は、政治的に中立の立場で、「すべての個人への無条件な所得の保証」というベーシックインカムを実現につなげる提言を発信します。

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【1】ベーシックインカムの実現可能性とその根拠~後編~                             さとうしゅういち

日本の社会保障は、政治家や官僚が大手企業を保護すれば、企業が企業内福祉により社員をカバーする。また、地方自治体も大手企業を誘致することで、自動的に地域が潤う。こういうモデルを前提としていました。なお、現実には、地方の製造業などでも多くの女性が働いていたし、彼女らなしで日本経済は成り立たなかったのはみなさんも御存じでしょう。

しかし、そういう仕組みは高度成長の終焉、さらにバブルの崩壊で機能しなくなってしまったのです。

1990年代後半以降、とくに小泉時代には、円安誘導や労働者の使い捨てにより、アメリカ(中国経由の間接輸出も含む)輸出に活路を見出そうとしたのです。だが、それも、小泉引退後に深刻化した経済危機であえなく崩壊しました。

リーマンショック以降、記者の周りでも、「専業主婦をやめて大型店で働き出した」女性が多くなり、従来のモデルが完全に機能しなくなっていることを肌身で感じます。一方、若い女性の間では専業主婦指向は強まっていると言われている。ただ、これも労働環境の悪化による「職場への嫌悪感」が大きいのです。

男性も専業主婦を抱えるだけの安定性とそれなりの収入があるのは大手企業正社員や正規の公務員くらいのものです。弁護士なども最近では若手では必ずしも儲かる商売ではなくなっているくらいです。従って、男女とも非婚化は進みます。そのことを年配者が怒っても仕方がないのです。

筆者はボランティア活動中、小さな子どもが二十歳前後の両親とともに野宿を強いられているのを目撃し、言葉を失ったことがあります。そもそも、高校にいけないことで、貧困を強いられ、それが子ども世代にも波及するという構図もでている。だから、「高校無償化、子ども手当」は悪い発想ではない。むしろ、規模も範囲もしょぼすぎることが問題なのです。

高校無償化も授業料だけでなく、通学費やPTA会費などの負担を減免するようにしないと、中流以上の家庭と低所得家庭の格差はかえって拡大します。子ども手当も、そもそも、経済的に苦しくて結婚さえ二の足を踏む人には意味がないのも事実でしょう。

ここまでくると、思い切って「教育は完全に無償化。それから、ベーシックインカムを全ての人に保障する。」。それくらいした方がいいでしょう。

党派に囚われず、ベーシックインカムの議論を広げて行きたいものです。いわゆる左派には「生存権保障」という観点から理解を頂く。右派には「経済がこのままでは需要不足で持続不能」という観点で理解を頂く。そういうことが必要でしょう。

<さとうしゅういち氏 プロフィール>「政争より県民の生活が第一。『わたしたちでつくる』日本、そして広島県。あなたにもいきる権利がある。」を信条に広島県で活動している。

人気ブログ「広島瀬戸内新聞主幹」 http://hiroseto.exblog.jp/

ツイッター http://twitter.com/hiroseto

【2】関曠野さんの講演録が公開されました「ベーシック・インカムについて考える」― マネーは何のためにあるのか ―

2010年12月27日、Spaceカンバスにおいて、TAGTAS/FORUM第三期レクチャーの一環として開催された関曠野さんの講演「ベーシックインカムを考える ― マネーは何のためにあるのか」の講演録が、ベーシックインカム実現を探る会のホームページに公開されました。 http://bijp.net/transcript/article/248

ベーシックインカムが財源論から政治論へと進化を遂げる過程に入った記念碑的講演で、具体的にどのような方法で実現していけばいいのかを探るときに、必ずこの講演録が参考資料になります。

関さんが2年前から提唱していた社会信用論は、政党政治と租税国家の崩壊という現実を見据え、自治体銀行と、自治体の連合による国家というビジョンとなって結実しています。

「現在の日本では中央と地方の間に活断層が走っていて、それが今後のこの国の政治の震源になりそうです。これからは地方自治体が日本の政治の焦点になってくるでしょう。」という指摘は、すでに現在進行形で進行しており、関さんが提案する構想をもとに、個々人が推進していく力となることでしょう。

【3】BIニュースイオンが導入する電子マネー「ワオン」と地域通貨の連携

イオンは電子マネー「ワオン」で、地方自治体などと連携した「地域通貨型」を全国展開する。特定の商店街や観光地ごとに発行、地元への還元機能などを持つのが特徴。2年以内に50地区以上で発行し、400万会員の獲得を目指す。ワオンは会員数や決済件数が伸びているが、グループの店舗に依存した状況では頭打ちになるとみて、地域との連携で普及を促す。(1月20日、日本経済新聞より)

下記にも見られてるように、ワオンには元からその志向性がありましたが、その動きがついに本格化するようです。

生活者の電子マネー「WAON」を通じた地域貢献2.地域通貨としての「WAON」をキーにしてWin―Winな関係を築く

http://e-public.nttdata.co.jp/f/repo/676_j1002/j1002.aspx

しかし、商店街での買い物でポイントを獲得したら、結局それをイオンに持って行かれるという懸念から、なかなか連携がうまくいかないという面もあるようで必ずしもうまくいかないようでしたが、成功事例も出ているようです。

横須賀市久里浜商店街での事例

http://allabout.co.jp/finance/gc/9442/

成功事例とまでは言えないかもしれませんが、検索すれば、様々な連携が試みられている事例が出てきます。

めぐりんWAON(四国での事例)

http://www.megurin.jp/

兵庫町商店街、めぐりんWAON導入へ

http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/economy/article.aspx?id=20091107000097

佐久っ子WAON(ワオン)カード

http://dig.crefan.jp/dig-233.html

岩村田ほんまちブログ「佐久っ子カード」始まりました!(長野県佐久市の事例)

http://iwamurada.exblog.jp/13483365/

電子マネー 地域商店と共用提案 イオンが県と連携協定 (山梨県の事例)

http://www.sannichi.co.jp/local/news/2011/02/08/6.html

先日お伝えした杉並区の事例もそうですが、一般的な「地域通貨」のイメージとは裏腹に、現実には猛ペースで地域通貨が浸透しています。

http://bijp.net/mailnews/article/230http://blogs.itmedia.co.jp/ozeki/2010/10/post-e0e8.html

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※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※発行 : ベーシックインカム・実現を探る会、編集長:野末雅寛 http://bijp.net/http://twitter.com/bi_jpCopyright(C)2009-ベーシックインカム・実現を探る会-All rights reserved.※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

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