BIメールニュースNo.093 2011.4.9発行
【1】3・11が私に決意させたもの 白崎朝子
【2】BIニュース ドイツにおける緑の党の躍進
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私たち「ベーシックインカム・実現を探る会」は、政治的に中立の立場で、「すべての個人への無条件な所得の保証」というベーシックインカムを実現につなげる提言を発信します。
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【1】3・11が私に決意させたもの 白崎朝子
3・11、私はベーシックインカム日本ネットワークの企画委員会議が開始する直前で、早稲田大学におり震度5強の地震にあった。10~18歳を地震の多い伊豆地方で暮らした私は、地震には耐性がある。だが、今回は『いつもと違う!』という恐怖を味わい、『ついに関東に直下型地震が来たか!』と魂が叫んだ。帰宅困難者となったが幸い東京YMCAのご厚意でソファで横にならせていただき翌朝、自宅にたどり着いた。
しかし、問題はその後だった。原発事故による放射能汚染の恐怖で、テレビのニュースが見られなくなった。私は19~22歳までに反核・反原発運動を必死でしていたから、今回問題となっているプルトニウム汚染がどれほどのものかを若い時から骨身に沁みて知っているからだ。
遠縁が長崎の被爆者だった私は14歳で長崎の原爆資料館を訪れ、衝撃を受けた。中学時代から核問題は私の中で一番のテーマだった。大学に入ってからは反戦・反核・反原発運動で走り回った。
しかし、26歳でシングルマザーになってからは、自分自身の生存すら危うい日々で、闘病生活を余儀なくされた。経済的にも不安定な状況の中で介護現場で働いた。そんな私は母子家庭の生存に関わる運動をするだけで精一杯だった。
今回「20代前半に反原発運動家だったのに…私は何をしていたのか!」と、激しく悔やまれた。そして、反原発署名に賛同し、友人や知人、メーリングリストに転送する日々に明け暮れた。
北海道のユニオンの方から津波の被害で海産物加工業の連鎖倒産があることや、建設業の日雇い労働者の失職もあると聞いて絶句した。また福島の郡山市の介護関係者からは、被災じたいは軽くライフラインの復旧は早かったが、問題は風評被害だと聞いた。福島というだけでタクシーの乗車拒否や、ホテルの宿泊拒否にあうという。たぶん、かつて広島や長崎の被爆者たちが結婚差別にあったように、これから福島の被曝した被災者への差別・排除が始まる可能性も私は懸念している。福島では福祉関係者の解雇もでてきているという。
仙台市の被災者は「地方は車がないと灯油も買いに行けない。家族が4人いたら4台車が必要。だが自動車保険は天災には適用されない。車を支給してほしい。薬も不足しており、必要な薬が入手できない」と話してくれた。
「関東の計画停電なんて、福島の復旧には役に立ちません。」と福島の被災者から言われた。計画停電のせいで、むしろ被災者支援や安否確認に支障をきたしている大学職員の友人もいる。
東京でも派遣労働者の私の友人は自宅待機を命じられ、減俸となる。既に大卒時の昨年以上の就職難も予想されている。
ケアワーカーの友人からは「介護保険への予算が削減されるのではないか…」という懸念の声を聞いている。 4月に入り都内もだいぶ物資は復旧してきたが、私は生協から米がほとんど入手できず、結局、神奈川の市場でやっと入手でき宅急便で送った。幸い井戸が近くで見つかったが、ミネラルウォーターはスーパーやコンビニ、自動販売機から姿を消した。
この絶望的状況の中で、希望を見いだしていくために、私はどう生きればいいだろうか…。なかなか寝つけない日々の中で、自問自答した。そして、私は未来を信じて、今やれることを精一杯やるしかないのだと思った。
いつ関東に襲うか分からない直下型地震に備えて、私の為にカセットコンロを駆けずり周り探してくれた、このメルマガ編集長の野末さんと京都の友人。ご自宅のカセットコンロと山ほどの乾電池を送ってくれた友人。彼女は米軍基地を押し付けられている沖縄出身者だ。カセットコンロのボンベとトロロ昆布を山ほど送ってくれたシングルマザーの友人は、風呂無し、エレベーター無しの公営住宅に住んでいる。
今回一番私を心配し関東では入手できない物資を送ってくれたのは、老後の年金もロクに貰えないような貧しい関西の女たちだった。
そして3・11の夜…。東京・新宿駅の駅で数千に及んだ帰宅困難者のためにホームレスのおじさんたちが、一生懸命下に敷く段ボールを探して配ったと聞いた。ツイッターにも書かれていたと友人も言っていた。だが、新宿のホームレスのおじさんからは「パンが手に入らないと言って、いつも貰えるパンが今週は貰えなかった」と3月19日に聞いた。炊き出しにも支障を来している。
普段、排除されていても帰宅困難の人達のために無償の愛で行動したホームレスのおじさんや友人たちに感謝をこめて、私は実現を探る会の白崎一裕さんと協議し、本気で基礎所得保障ならびにベーシックニーズ(医療・住宅・教育・ケアなど)を政府に要求する院内集会をすることにした。
4月27日(水)11:30~参議院会館にて。詳細は次号インフォメーションにぜひご注目ください。
以下の記事はカセットコンロを探し回ってくれた友人からの情報提供です。ご参照ください。
津波生存者が語る、認知症介護施設を襲った悪夢2011年03月15日 13:56 発信地:宮城(c)AFP/Hiroshi Hiyama
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/disaster/2790610/6956563
<白崎朝子氏 プロフィール>介護福祉士・ライター著書『介護労働を生きる』(現代書館刊)他。安全な労働と所得保障を求める女性介護労働者の会メンバー。カナリアネットワーク、ベーシックインカムを考える会主宰。現在、『ベーシックインカムとジェンダー(仮題)』現代書館のコーディネーター&執筆者。
【2】BIニュース ドイツにおける緑の党の躍進
ドイツの調査機関フォルザ(Forsa)が6日公表した世論調査結果によると、反原発を掲げる野党・緑の党(Greens)の支持率は前回の調査から7ポイント伸びて、過去最高の28%を記録、社会民主党(SPD)を抜いて支持率2位に躍進しました。
反原発の「緑の党」、支持率2位に躍進 ドイツ
先だってのバーデン・ビュルテンベルク州議会選で、福島原発事故の影響で、緑の党は歴史的勝利を収めたばかりで、連立政権を組むことが予想されるほど勢力を伸ばしていましたが、それが今回の世論調査で裏付けられた形になります。
ドイツ地方選、反原発の緑の党が大勝 メルケル政権に痛手
http://www.afpbb.com/article/politics/2793008/7015882
緑の党は反原発のみならず、ベーシックインカムの実現を目指しています。その勢力の拡大は、ベーシックインカム実現の可能性を大いに高めます。今後も、この進捗についてお知らせしていきます。
(BIメールニュース編集長 野末 雅寛)
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※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 発行 : ベーシックインカム・実現を探る会、編集長:野末雅寛 http://bijp.net/ http://twitter.com/bi_jpCopyright(C)2009-ベーシックインカム・実現を探る会-All rights reserved.※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※