BIメールニュースNo.063  2010.09.04発行 バックナンバー

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BIメールニュースNo.063  2010.9.04発行

【1】『メンテナンス経済に向けて (五)』     関 曠野

【2】BIニュース 竹中平蔵氏が、ツイッターで日銀の国債引受を提案

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私たち「ベーシックインカム・実現を探る会」は、政治的に中立の立場で、

「すべての個人への無条件な所得の保証」というベーシックインカムを

実現につなげる提言を発信します。

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【1】『メンテナンス経済に向けて (五)』

関 曠野

それでは、メンテナンスを原則とする経済はどんな社会を生み出すであろうか。それは新規なこと、革新的なことを排除しがちな悪い意味で保守的な社会になりはしないか。いや、そうではない。この社会では、現状への固定ではなく、維持と保全に値するものを人々がどう考え選択するかが重要な課題になるだろう。

前に述べたように、メンテナンスの論理は生産と消費、ストックとフローという近代経済学の公式を越えるものである。それはまた「貯蓄と投資」というお馴染みの議論も受けつけない。経済学においては富とは貯蓄であり、それは富をさらに増大させるために効率的に投資さるべきものである。だがメンテナンスという行為は貯蓄でも投資でもない。

そしてこの問題を考える上でヒントになりそうなことが昨年起きた。新年度予算の編成にあたって民主党がいわゆる事業仕分けで科学技術関連予算をあれこれ大幅に削減したのである。これに対し大学人と研究者が強く反発、各地の大学の学長が異例の共同声明を出すなどした結果、民主党は削減案をかなり撤回した。

問題は、民主党が科学技術予算をたんなる投資とみなしたことにあった。だが学者、研究者たちの抗議は、利権を脅かされた業界人として科学技術への投資の効果を力説するといったものではなかった。現代の科学技術はある意味では伝統的な芸能や工芸と同じで、若い後継者を着実に養成していかなければ衰退どころか消滅の恐れさえある。それゆえに科学技術は厖大な蓄積に基づいた一つの伝統として維持保全すべきものというのがその抗議の主旨だったように思う。そして世論が彼らを支持したことは、日本人が科学技術を保全さるべき貴重な遺産や伝統として改めて選択したことを示唆していよう。

この小さな出来事からメンテナンスを経済の原則とする社会の姿が垣間見える。そこでは、保全さるべき価値あるものとは何かをめぐる人々の討論が経済と社会の在り方を決定するだろう。そしてそれは、大規模な新規投資はもう滅多にないので静かで落ち着いているが、価値と伝統をめぐる討論の点では賑やかで活気のある社会になることだろう。

<関 曠野 氏 プロフィール>(第一土曜日執筆)

1944年東京生まれ。早稲田大学文学部卒業後、共同通信社記者を経て1980年より文筆業に専念。専門は思想史、教育論。著書に『プラトンと資本主義』『ハムレットの方へ』(共に北斗出版)、『民族とは何か』(講談社現代新書)など。

2009年3月8日の当会主催の勉強会で「生きるための経済」を講演。

講演録

http://bijp.net/transcript/article/27

質疑応答

http://bijp.net/transcript/article/79

【3】BIニュース 竹中平蔵氏が、ツイッターで日銀の国債引受を提案

竹中平蔵氏が、ツイッターで日銀の国債引受を提案しています。

http://twitter.com/HeizoTakenaka/status/22563647485

日銀の国債引受を実行した高橋是清についてもポジティブにコメントしているので、字義通り「財政は経済を良くするための政策手段であることを思い起こすべきだ。財政を目的にしてはいけない」と考えているのでしょう。

http://twitter.com/HeizoTakenaka/status/21814041531

竹中氏は、閣僚在任時に財政のプライマリーバランスを重視するなど、経済よりも国家財政を重視する傾向がありましたので、その矛盾に戸惑うところもあるのですが、閣僚経験者が日銀の国債引き受けを堂々と主張したことを前向きに受け止めたいと思います。

日銀が国債を引き受ければ、ベーシックインカムの財源を捻出することができます。その方向性を切り開くきっかけを作ってくれた点を評価します。

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発行 : ベーシックインカム・実現を探る会、編集長:野末雅寛

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