【翻訳】カナダ市民が中央銀行を提訴

中央銀行と通貨のあり方を根底的に問い直すニュースがカナダで報じられましたので、翻訳してお伝えします。

カナダ市民が中央銀行を提訴

カナダ銀行・財務省を被告とする訴訟

プレスリリース(トロント、2011年12月20日)カナダ市民2人と経済シンクタンクがカナダ連邦裁判所で国際金融権力と対決へ

 これらの市民は、カナダ中央銀行をカナダ人の利益のために使用し、国際金融組織の支配から離脱させるという宣言を要求している。国際金融組織の利益と指令は、カナダ人の利益とカナダ憲法の最高法規性よりも上位に置かれている、という。

  憲法学者・弁護士のロッコ・ギャラッティは2011年11月12日、ウィリアム・クレーム、アン・エメット、通貨・経済改革委員会(COMER)の代理として、連邦裁判所に提訴した。カナダ中央銀行に、その法定任務と責任を行使させることによって、その本来の目的のための使用に復帰させるためである。その任務には、地方・連邦政府の「人的資本」支出(教育、健康その他の社会サービス)やインフラ整備のための、利子なし貸し出しを行う[つまり政府が利子なし通貨を発行する]ことが含まれる。

  この訴訟はまた、「税額控除」の企業その他の納税者への振替の前の国の歳入を計算しない、または真実の歳入総額を明らかにしないで持ち越す、という会計方法における政府の財政上の虚偽をも争うものである。

  原告は、1974年以来、カナダ中央銀行と通貨・金融政策は、カナダ中央銀行法に反して、海外の民間銀行と私的利益によって支配されるという現実に、徐々にではあるが確実に滑り落ちてきたと主張している。

  原告はまた、国際決済銀行(BIS)、金融安定フォーラム(FSF)と国際通貨基金(IMF)はすべて、ある意識的な意図をもって設立されたと主張する。その意図とは、貧しい国々を貧しいままにとどめ、今ではすべての国にまで拡大した貧困状態をそのままにしておくことであり。そして、これらの国々において上記の国際金融機関は、金融を支配することにより、カナダのように国の政府と憲法の優位性を乗り越えることに成功したとしている。

  原告によれば、BISとFSFの後継者である金融安定理事会(FSB)の会議、その議事録、討議、審議は秘密とされ、議会・行政当局でも入手不能であるばかりか説明責任もなく、カナダの公衆へも同じ状態になっている。カナダ中央銀行の政策がこれらの会議によって発せられるにもかかわらず、である。これらの機関は、本質的に私的で、外国組織でありながら、カナダの銀行システムと社会・経済政策を支配しているのである。

  原告は、被告(行政当局者)は、程度の違いはあるものの無意識的・意識的に、これらの国際機関とともに密かに、カナダ中央銀行法とカナダの金融・通貨政策、社会・経済政策の独立性の無力化に関与すること、銀行・金融システムという手段によって議会によるカナダの統治を無視することを認識し意図している、という。 (以下、翻訳略)

原文

Canadians Challenge Central Bank In Court

 

文責:ベーシックインカム・実現を探る会
訳者:鈴木武志

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