BS11動画映像 田中康夫 vs 白崎一裕 対談
「ベーシックインカムこそ究極の日本改革」
2010年5月22日にBS11「田中康夫のにっぽんサイコー!」で放映された、田中康夫(新党日本代表)と白崎一裕(ベーシックインカム・実現を探る会代表)対談「ベーシックインカムこそ究極の日本改革」のアーカイブ動画映像です。
2010年5月22日にBS11「田中康夫のにっぽんサイコー!」で放映された、田中康夫(新党日本代表)と白崎一裕(ベーシックインカム・実現を探る会代表)対談「ベーシックインカムこそ究極の日本改革」のアーカイブ動画映像です。
2010.05.26 | Trackback(0)
「ベーシックインカムがわかる本 Q&A入門編」を多くの方々に読んでいただいて、様々なご感想をいただいています。そのなかには、お褒めの言葉もありますが、厳しいご批判も頂戴いたしました。私は、これらご批判こそこれからのベーシックインカム(以下BI)を実現していく際に重要なものだと考え、ここに皆様へそれを公開することといたしました。
まず、一点目は、イラストの描き方において、「ジェンダー的視点・性差別に対する批判的視点が欠けているのではないか?」というご批判です。
たとえば、3ページのイラストですが、若い女性が経済的理由から結婚を躊躇しているようすが描かれています。 しかし、この女性はあくまでも、役者の夢をおう男性をサポートする位置付けでの役割でなおかつ男性に選ばれること(従属的な女性の役割)を望んでいるように描かれています。 これをBIが一挙に解決して結婚にいたる――という流れです。
また、25ページには、結婚後の生活と思われるイラストがあり、女性は育児と家事をこなし、男性が遅くまで残業という場面です。 それをBIが導入されれば、ゆとりがある暮らしができてハッピーということになっています。 ここでも、夫は家事や育児に協力できるということになっていますが、あくまでも夫は、家事・育児に関しては補助的なもので妻は、家事労働専業という構図は変化していません。
BIに関してのフェミニズムからの懐疑的・批判的論点は、「BIが導入されるとかえって、性差別的な男女役割および家族の在り方が固定化・助長されてしまうのではないか?」というものです。 そのご批判にイラストは十分こたえていません。 また、セクシャルマイノリティーやシングルマザーの人々の生き方を反映するものにもなっていません。
第二点目は、障がいのある人々が描かれていない、というものです。 障がいのある人々の運動でもBIは「無条件・個人単位」という所得保証ということで期待が大きいだけにその点の配慮がないものは問題だと思われます。
第三点目は、5ページのQ4「働かない人がお金をもらえるなら、働いている人はバカらしくて働かなくなりませんか」の回答で、「働いた人は働いたぶんだけ収入が多くなります。生活保護のように働いた人と働かない人が同じということはありません」というところです。 この部分に関しては、「生活保護も『勤労控除』があり、部分的に労働による所得が加算される制度があるのではないか?」というご指摘でした。
このQ4の設問とアンサーの編集意図は、BIは、労働して得た収入がそのまま無条件にBIに加算されるということで労働の意味合いが無意味になるのではない、ということを強調するものでした。 したがって、ここは生活保護法そのものの批判が中心主題でないので、設問の趣旨は問題ないが、実例として生活保護制度と比較したのは誤解を生みやすいということにより、現在、生活保護の部分を削除した文案のイラストを作成中です。
以上、おもなご批判の論点を箇条書きに掲載してみました。 これらご批判は、発行主体の代表という立場でQ&A冊子を再読してみますと、納得することばかりです。
すべてのご批判に対して現在、会の内部でも再検討をすすめ「再版」にむけて改善するように作業をすすめております。 Web版Q&Aで上記に該当する箇所(Q3)はすでに訂正を入れて改善いたしました。
また、ここにご紹介した以外のご批判・ご感想をお持ちの方もいらっしゃると思います。 ぜひ、「実現を探る会」までご連絡いただければと思います。
あらためて、ご批判の論点をふりかえってみますと、性差別の問題については、やはり、私が「男性」であるということで編集作業のチェックが甘くなっていたということを自己批判せざるを得ません。 そして、この問題は、女性間での論争も巻き起こる可能性がありますが、注意しなければならないのは、女性の論議を男性が高みの見物をしてはならない――ということです。 性差別当事者としての男性性をも問うことなくしてこの課題に取り組むことは安易だと思われます。
Q&A冊子の編集・発行意図は、「まだ、BIについて何も知らない人たちが、遭遇するであろう素朴な疑問に対してお答えする読みやすい冊子」ということで、イラストなどを中心としたできるだけ親しみやすい内容とする、というものでした。 しかし、BIは、その基本制度がシンプルであるだけに、BIと組み合わされる思想・政策についての鋭い議論がBI思想の普及と同時並行的におきています。 私は、その議論の重要性を入門編に反映させる努力を怠っていたと反省しています。 入門編の冊子だからこそ、最先端の問題意識が重要なのでした。
この冊子につきましては、一旦は、販売を自粛することも考えました。 しかし、BIを積極的に実現するためには避けては通れない課題であることを多くの読者・市民の皆様とともに共通認識とするために、自己批判文とお詫びを兼ねた文章を公開することとした次第であります。 少しでも、皆様のご理解を得られれば幸甚でございます。
2010年3月26日
ベーシックインカム・実現を探る会代表 白崎一裕
2010.05.01 | Trackback(0)