BIメールニュースNo.040  2010.3.26発行 バックナンバー

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BIメールニュースNo.040  2010.3.26発行

【1】『ベーシックインカム――分配する最小国家の可能性』のご紹介

立岩真也

【2】BIニュース

【続報】ゲッツ・ヴェルナー氏の理念に基づくドイツでのベーシックインカム実験

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私たち「ベーシックインカム・実現を探る会」は、政治的に中立の立場で、「すべての個人への無条件な所得の保証」というベーシックインカムを実現につなげる提言を発信します。

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【1】『ベーシックインカム――分配する最小国家の可能性』

(立岩真也・齊藤拓著 青土社、税込2310円)のご紹介

立岩真也

上記の本を出版しました。奥付では4月発行ですが販売中です。3月26・27日の「ベーシック・インカム日本ネットワーク設立集会」でも販売します。どうぞよろしくお願いします。

まず斎藤の第3部「日本のBIをめぐる言説」だけでもこの本を買う価値はある。近年いろいろな人がBIを語っている。どうなっているのか、そろそろ「専門」の人でもないと見渡せないようになっている。そこで斎藤が、日本語で出た著書・論文については網羅的に、またネット上のものなど他の媒体に載ったものも含め紹介し、そして斎藤の視点で、ときにかなり辛辣に論評している。

私(立岩)が書いたのは第1部「BIは行けているか?」。この問いに対する答はどうなるか。「否」ではない。しかし、一人月5万だか8万だかを出して、そしてそれで終わりというような手切れ金のようなものであるなら、また、そのための財源として税率一定の所得税(フラット税)あるいは消費税を使うというのであれば――消費税そのものに常に反対であるわけではないが――、別のものの方がよいし、また今ある制度をよりましにする方がましだと言わざるをえない。

そして、BIがよいと言われる際、よく制度が「簡素」であることがあげられるが、そうか。そしてそれはどれほど大切か。また「スティグマの回避」があげられるが、どれほど「本筋」の話なのか。そして「働かない権利」も言われる。その主張がもっともな文脈はある。しかしBIを受け取ることは「権利」であり、そのための徴収は「強制」としてなされる。とすると、やはり「労働(の義務)」をどう考えるのかは片がついていないのではないか。

以上のことを担当箇所で書いている。やはり基本的なことは考えておかねばならないと思う。しかしそれでは「前向き」でないと言われるだろうか。私に案がないわけではなく、第1章「此の世の分け方」で提案した。

対して、斎藤の第2部はBIを力強く肯定する。ただその肯定の仕方は、日本でよくある話とは違う。また私の話と違うようで、意外に違わないところもある。ちなみに、本の副題の「分配する最小国家」という語は私が以前に使った語だが、斎藤はそれを超えて「最大限に分配する最小国家」がよいと言う。ただその点についても私にそう異論はなく、そんな姿勢があまりBIの主張にないのはいやだと思っている。そしてその主張は斎藤が訳した『ベーシック・インカムの哲学――すべての人にリアルな自由を』(原著1990、訳2009、勁草書房)のヴァン・パリースの主張でもある。しかしその人と私が思うことも違う。

どうなっているのか。ややこしい話もときに必要だと私は思っている。同時にまったく現実的に具体的に考えていきたい。給付と対になり同時に重要なのは「財源」論である。村上慎司・橋口昌治との共著書『税を直す』(2009、青土社)と合わせて読んでいただきたい。当方(生存学創成拠点)のHPからでも注文できる。

生存学創成拠点HP

http://www.arsvi.com/

立岩真也(たていわ・しんや)氏プロフィール

1960年佐渡島生。専攻は社会学。立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。単著に『私的所有論』(1997)『弱くある自由へ』(2000)『自由の平等』(2004)『ALS』(2004)『希望について』(2006)『良い死』(2008)『唯の生』(2009)

【2】BIニュース

【続報】ゲッツ・ヴェルナー氏の理念に基づくドイツでのベーシックインカム実験

先週のメールニュースで報じたドイツのベーシックインカム実験についてですが、これは、『マネジャー・マガジン』誌に基づいた記事でした。

http://www.manager-magazin.de/geld/artikel/0,2828,667336,00.html

その後、このプロジェクトの輪郭が見えてきました。ゲッツ・ヴェルナーの著作を邦訳した渡辺一男さんから、このプロジェクトについてご報告いただきました。

このプロジェクトの責任者であるプレッセ氏のインタビュー(2010年2月5日のオンラインラジオDefektor.fm)および『マネジャー・マガジン』誌の報道にもとづき、実験計画の概要をまとめていただきましたので、ご紹介いたします。

http://bijp.net/data/article/172

この実験への応募者もまだごく少数で、当プロジェクトが計画通り2010年半ばに実施されるか否かは予断を許さないようです。

このプロジェクトについては、続報が入り次第またご報告したいと思います。

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発行 : ベーシックインカム・実現を探る会、編集長:野末雅寛

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