BIメールニュースNo.079 2010.12.26発行
【1】山森先生講演とブラジルからの報告@中川村
曽我逸郎
【2】BIニュース
朝日新聞〈回顧2010・論壇〉にてベーシックインカム論文が複数選定
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私たち「ベーシックインカム・実現を探る会」は、政治的に中立の立場で、「すべての個人への無条件な所得の保証」というベーシックインカムを実現につなげる提言を発信します。
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【1】山森先生講演とブラジルからの報告@中川村
曽我逸郎
11月26日、同志社の山森亮先生と学生の方々、ブラジルのOSCIP(≒NPO)、ReCivitasからブルナさんマルコスさんが、中川村に来て下さった。安曇野でBI研究に取り組む藤澤雄一郎さんも合流して下さる。村内をあれこれ見て頂き、農家民宿で鴨鍋を囲み、日本の農山村の現況を知ってもらって、翌日午後、講演して頂いた。参加は、千葉、兵庫からも含め、総勢40人ほど。山森先生のBI概説の後、ブラジルの報告があった。
ブラジルでは、ルラ大統領の2004年、ベーシック・インカム法が成立しており、段階的に実施するとされている。第一段階は、「ボルサ・ファミリア」という低所得向け子供手当てで、一億六千万人のうち6千万人が受給している。しかし、予防接種受診や学校出席率85%以上などの条件があり、受給に政治家の口利きが幅を利かす、行政内経費に42%が費やされる、など問題点が多いという。
法に定められているにも拘らずその後のBIへの取り組みのないブラジル政府を、ブルナとマルコスは訴えようとしたが、引き受けてくれる弁護士がおらず、断念したそうだ。
二人がBIに取り組み始めた理由は、もともと環境保護活動をしていたが、違法伐採の背景には貧困があると気付いたため。サンパウロから55km、人口100人のコミュニティQuatinga Velho で08年、月額1400~1500円相当のBIを始めた。できれば倍程度の額にしたいが、現地ではこれでも意味ある額だという。外来者の活動を不審に思う住民も多く、最初は27人の受給だったが、学習会や車に本や玩具を載せて回るなどの工夫で信頼を得て、2年で77人の受給に増えた。原資は、自分達のお金と欧州からを含む寄付。薬を買えなかった人がツケでも買えるようになった、井戸を掘った、子供に眼鏡を買った、ニワトリを飼って卵を売りはじめた、などの効果が現れている。
まずBIを給付し、さらにマイクロ・ファイナンスによる起業支援へと繋げていく。将来は、Basic Income Guarantee Bank のネットワークを築ければ、政府に頼らずにBIとMFを提供できるのではないかと考えている。
www.recivitas.org.br
(ブルナさん、素敵な赤ちゃんを産んで下さい。)
参考リンク
ベーシック・インカム 山森先生講演とブラジルでの実践報告の会@中川村
http://www.vill.nakagawa.nagano.jp/intro/v_chief/068_20101111.html
<曽我逸郎 氏 プロフィール>
釈尊の教えを考えることがライフワーク。 http://www.dia.janis.or.jp/~soga/
人の世の苦を減らす術の研究も、テーマのひとつになってきた。信州伊那谷の中川村にIターンして、思いがけない縁で村長をしている。
【2】BIニュース
朝日新聞〈回顧2010・論壇〉にてベーシックインカム論文が複数選定
12月18日の朝日新聞〈回顧2010・論壇〉において、「私の3点」で原田泰「ベーシックインカムが貧困を解消する」中央公論6月号が2者から、萱野稔人「ベーシックインカムがもたらす社会的排除と強迫観念」POSSE vol.8も松原隆一郎氏から選ばれました。
http://book.asahi.com/clip/TKY201012180140.html
今年の論壇はまさにベーシックインカムが大いに脚光を浴びたと言っていいでしょう。記事にもありましたが、サンデル教授の『これからの「正義」の話をしよう』の大ヒットをふまえると、底流にあるのは「社会探し」を求める気分だということなのでしょう。
私の3点 選者50音順(敬称略)
東浩紀(批評家・作家)
▲原田泰「ベーシックインカムが貧困を解消する」中央公論6月号
▲菅原琢「みんなの党は本当に“みんな”の党?」SIGHT vol.44
▲村上隆『芸術闘争論』幻冬舎
藤原帰一(東大教授=国際政治)
▲原田泰「ベーシックインカムが貧困を解消する」中央公論6月号
▲空井護「『理念なき政党政治』の理念型」世界8月号
▲菅原琢「みんなの党は本当に“みんな”の党?」SIGHT vol.44
松原隆一郎(東大教授=社会経済学)
▲岡本行夫「ねじれた方程式『普天間返還』をすべて解く」文芸春秋5月号
▲萱野稔人「ベーシックインカムがもたらす社会的排除と強迫観念」POSSE
vol.8
▲高橋伸彰「経済失政が続いた原因は成長信仰にある」中央公論4月号
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発行 : ベーシックインカム・実現を探る会、編集長:野末雅寛
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