BIメールニュースNo.014  2009.09.19発行 バックナンバー

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BIメールニュースNo.014  2009.09.19発行

1 『ベーシックインカムの政治論 その2』 白崎一裕(第三土曜日執筆)

2 BIニュース “地方紙に見るベーシック・インカムの取り上げられ方”

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私たち「ベーシックインカム・実現を探る会」は、政治的に中立の立場で、「すべての個人への無条件な所得の保証」というベーシックインカムを実現につなげる提言を発信します。

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1 『ベーシックインカムの政治論 その2』

ベーシックインカム・実現を探る会 代表 白崎一裕

ベーシックインカム(以下、BI)の政治論というからには、こんどの選挙で政権交代をはたした民主党の政策についてふれないわけにはいかないだろう。民主党の政策については、以下のサイトで早稲田大学の岡部耕典氏が適切にまとめている。ここには、民主党政策で常に問題とされる財源問題のからみで税のあり方についてのまとめもある(中には、負の所得税に近い政策としてよくとりあげられる「給付付税額控除」もふくまれている)。

民主党の”個別・直接・一律”給付型政策一覧

http://www.eft.gr.jp/money/090901dpj-income.html

民主党が考えている新たな「税」のかたち

http://www.eft.gr.jp/money/090901dpj-tax.html

ご覧頂くと、子ども手当、全額税方式基礎的年金など、部分的なBI政策といえるようなものがならんでいる。今回は、このなかで、「月額10万円給付つき職業訓練制度」をとりあげてみよう。この制度に関しては、BI論議のなかでとりあげられる、参加所得ないしは、フランスの参入最低所得(RMI)との類似性が認められる。フランスのRMIは、若者を中心に大量失業と社会的排除が問題となった1988年に創設されたものである。この制度は、失業者や学歴が低く雇用が得られない若者たちに対して最低所得を保障するとともに社会生活や職業生活への参入を促すことを目的としている。

だが、近年、この制度に関しての問題点が指摘されるようになってきている。それは、当初目的とされた雇用による社会参入が機能せず、長期間の受給が増えていることなどである。このことは、失業は「自己責任」という新自由主義的政策に比較的反発の強いフランス社会においても、雇用にむすびつく形での社会参入が難しいことを示している(出雲祐二氏<秋田看護福祉大>の報告による)。やはり、労働過程の細分化などによる潜在的失業状態のポスト工業化社会において、労働と所得を結びつけることに困難さがあるのだ。これを解決するには、労働と所得を分離する完全BIの実施が求められる。また、現在でも自民党政権下で実施されている、給付金つき職業訓練制度の運用があるが、制度が複雑すぎて利用者が少ないという問題点もあるようだ。

さて、民主党は、これらの政策の財源を税のやりくりや行政の無駄を排するということで、ひねり出そうとしている。しかし、ビル・トッテン氏が指摘するように、「日本政府の国家債務の78%は借金を返済するためで、国家や国民のために使われているのは政府の債務の22%だけ、さらに、1968年から国民が支払ってきた税金の29%は、政府の借金のために使われ、国家や国民のために使われたのは税金の71%のみ」ということを考えると、「税」とは一体何なんだ!ということになる。ここにあらわれているのは「利子付き負債」で動いている通貨体制そのものが税の無駄使いを生んでいるということである。重要なことは、それを変革して公共通貨で財源を生み出すことこそが求められる道なのだ、ということではないだろうか。

ビル・トッテン氏の指摘(ベーシックインカム・実現を探る会ウェブサイト参照)

http://bijp.net/money/article/96

(この稿続く、ただし、「利子付き負債」や「通貨体制」の問題は、ここでは、詳細は述べることができないので別の機会にこのメルマガで取り上げたいと思う)

<白崎一裕 氏 プロフィール>

ベーシックインカム・実現を探る会 代表。

株式会社 共に生きるために 代表取締役

http://www.livetoge.com/

2 BIニュース

“地方紙に見るベーシック・インカムの取り上げられ方”

朝日新聞9/12の土曜付属be紙にベーシック・インカムについて取り上げられ、小沢修司さんが財源論について詳しく説明し、中川村村長の曽我さんもBIが過疎に苦しむ村を救う策になり得ることを説明していました。ベーシック・インカムが導入されたら、どの家計でどのように収入が変わるのかのシミュレーションが、グラフ付で描かれていました。

下記のブログが要点をうまくまとめています。

http://waraku88.blog.so-net.ne.jp/2009-09-12

http://waraku88.blog.so-net.ne.jp/2009-09-13

ついに全国紙にもベーシック・インカムが取り上げられるようになりましたが、実は前々から、地方紙では深く論及されているものもありました。地方の方が経済状況が深刻であることと、何と言っても本当に意義のある新しい活動は辺境から発生するからでしょう。

WEB上で確認できる地方紙の記事を下記に引用します。信用性のある記事は、ブログからの孫引きもあります。

東京新聞 特報面(「ニュースの追跡」)

http://d.hatena.ne.jp/eirene/20080105/1199522811

'08/01/04

山陰中央新報 - ベーシックインカムの地下茎

http://www.sanin-chuo.co.jp/column/modules/news/article.php?storyid=509808034

'09/02/02

日経新聞夕刊 「社会保障ウオッチ」

http://diary.e-yazawa.her.jp/?eid=718645

'09/3/28

朝日新聞中部版夕刊・文化欄 関曠野さん原稿

http://bijp.net/transcript/article/39

'09/5/12

《137万人の会議室》第3回「夜型社会」 - 琉球新報

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-147358-storytopic-194.html

'09/07/20

13歳大人への分岐点 加藤氏、親の役割強調 - 琉球新報 -

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-147561-storytopic-5.html

'09/07/25

就学援助15%突破 08年度 県教育庁調べ - 沖縄タイムス

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2009-07-28-M_1-001-1_004.html

'09/07/28

沖縄で多く取り上げられているのは、さすがは「命どぅ宝」の精神があらわれているというところでしょうか。

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