BIメールニュースNo.036  2010.2.27発行 バックナンバー

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BIメールニュースNo.036  2010.2.27発行

【1】『貧困現場から考えるベーシック・インカム』

介護福祉士・ライター 白崎朝子

【2】BIニュース

「ベーシック・インカムを考える集い」(安曇野ベーシック・インカム研究会主催)

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私たち「ベーシックインカム・実現を探る会」は、政治的に中立の立場で、

「すべての個人への無条件な所得の保証」というベーシックインカムを

実現につなげる提言を発信します。

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【1】『貧困現場から考えるベーシック・インカム』

介護福祉士・ライター 白崎朝子

93年。5歳の息子を連れ山谷の夏祭りに行った。子連れで山谷にくる女は珍しかったようで、日雇い労働者達からおでんや焼鳥の差し入れがあった。息子の手には50円玉や100円玉が握らされた。仕事にあぶれたら野宿する男達。息子のてのひらにあった50円玉が今も脳裏に焼きついている。

当時の私は公務員ヘルパー。母子家庭の当事者運動だけで精一杯で越冬時だけ山谷にカンパを送り続けた。01年、野宿者の多くが母子家庭や養護施設出身だと知る。彼等に息子の将来が重なり、それが原動力で、いまも野宿者支援が続いている。私にとって野宿者問題は『支援』ではない。当事者運動の延長線上にあるものだ。

今年も元旦から支援団体の夜回りに参加している。8年目になる今年、一番衝撃的だったのは、毛布一枚で寝ている若年野宿者が急増したことだ。彼らには家族的セーフティネットがない。リーマンショックや派遣法の規制緩和、福祉の貧困等が追い討ちをかけていた。ある若い当事者は北国から東京へと流れ着いたという。各福祉事務所で片道切符を渡され相談機関をたらい回しにされたと怒りを露にした。彼のような話は珍しくはない。

以前ならば直ぐに施設に入所させ生活保護費を搾取していた貧困ビジネスも、最近は路上で30日間待機させ、入所を選択させるのだと当事者から聞いた。貧困ビジネスもそこまで巧妙になったのか!と絶句した。彼らは「一人では絶対に生活保護は受けれない」と叩き込まれていた。

貧困ビジネスが蔓延る背景には生活保護申請の敷居の高さがある。だが、それを棚に上げ大阪市長が国に生活保護の有期化を訴えている。

http://www.asahi.com/politics/update/0125/OSK201001250152.html

2月11日の朝日新聞『若年ホームレス急増』(清川卓史)によれば「大阪・東京などにあるホームレスのための自立支援センターで20~30代の入所者の割合が急増」「大阪は全体の3分の1」「東京も4分の1」とある。私の現場実感が具体的な数字として裏付けされた。支援団体が野宿者に配布するチラシには漢字にルビがふってあるが、若年野宿者急増の背景にも、貧困による教育格差や不登校問題がある。別項で論考したい。

BIが導入されたら野宿者たちはどうなるだろうか。より安易に貧困ビジネスに搾取されるリスクがあるかもしれない。そんな想いを巡らしている中、BIJN設立集会で私も発言することになった。様々な当事者たちの顔を思い浮かべながら、現場から叫んでみたい。

<白崎朝子氏 プロフィール>

2002年から野宿者「支援」に関わる。『介護労働を生きる公務員ヘルパーから派遣ヘルパーの22年』現代書館刊『“いのちの現場”で派遣がすすむ!』週刊金曜日10年2月26日号

【2】BIニュース

「ベーシック・インカムを考える集い」(安曇野ベーシック・インカム研究会主催)

2月20日に松本市で開催された「ベーシック・インカムを考える集い」が、中日新聞に掲載されました。

http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20100221/CK2010022102000006.html

藤沢雄一郎代表ら3人が講演し、市民約50人に新しい社会保障制度の概念を紹介したこと、そして、松本市で生活困窮者支援に取り組む市民グループの八木航さん、中川村の曽我逸郎村長のコメントが掲載されています。

曽我さんによれば、主催者予想を上回るほどの入場者数で、あわてて机の移動をお願いし席を増やすくらいの熱気だったようです。

http://twitter.com/itrsoga/status/9379991708

中日新聞は今年の元日に、社説でベーシックインカムを紹介するなど、地方紙として独自の存在感を発揮しています。

http://bijp.net/mailnews/article/164

ベーシックインカムは、ニコ生のような派手なパフォーマンスからではなく、地方からじわじわと始まるのかもしれません。

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