BIメールニュースNo.055 2010.7.10発行
【1】不換紙幣がなぜ信用されるのか(2)
ベーシックインカム・実現を探る会 主任研究員 古山 明男
【2】BIニュース 「BI時評」を開設しました
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私たち「ベーシックインカム・実現を探る会」は、政治的に中立の立場で、
「すべての個人への無条件な所得の保証」というベーシックインカムを
実現につなげる提言を発信します。
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【1】不換紙幣がなぜ信用されるのか(2)
ベーシックインカム・実現を探る会 主任研究員 古山 明男
ベーシック・インカムが、肥大したマネー経済から抜け出す切り札になることを述べたい。
現在のお金のほとんどは銀行が貸出をするときに新たに生まれたお金である。銀行は、ある上限までなら、持っていないお金を貸してもかまわないのである。信用創造と呼ばれる。
昔は貴金属を通貨としていたが、現在のお金は、支払ってもらえる約束そのものを人から人へと渡して流通させている。紙幣はそのものとして価値を持つのではなく、信用創造で生まれたお金に、実体経済の裏付けがあるため価値を持つのである。
しかし、作りやすいお金は、作られすぎて価値を失いやすいものである。この点に関して現在のお金は、作りすぎれば貸し倒れとなって消滅することで価値を保障している。貸し倒れの発生そのものは、消化できない食べ物を吐き出すようなものであって、必要な現象である。
しかし、現実には「大きすぎて潰せない」が頻発するため、マネーの作りすぎが修正されにくい。大企業が倒産すると、銀行まで潰れてしまうためである。企業が倒産しかけたら、もっと貸せば企業は生き延びる。危なくなったら、貸す。これが続くかぎり、倒産は起こらない。その裏で、見えない不良債権が積み重なる。
「大きすぎて潰せない」ことは、国にとっても同様である。大企業や大銀行が危なくなると、国や中央銀行から資金を提供したり、不良債権を買い上げたりして生き延びさせる。ほうっておくと恐慌になるから、助けざるをえないのである。しかしそれは、根本治療ではなく、奇跡が起こるのを待つ延命治療なのである。世界中でこれが起きている。
肥大したマネー経済は、どこかで実体経済の規模に縮小せざるを得ないはずであるが、先延ばしするほどに、そのときのショックは大きくなる。
もしそこに、ベーシック・インカムがあれば、「大きすぎて潰せない」ことは起こらない。企業が潰れても、人々は生き延びられるからである。不良債権はさっさと処理し、過剰設備もさっさと処理し、効率の悪くなった産業分野(日本の建設業のような)をさっさと縮小し、より社会を豊かにする分野に資金と労働力が移っていけばいいのである。ベーシック・インカムがあれば、労働力の移行のための再教育期間が十分にとれる。
しかも、ベーシック・インカムがあれば、生活のための消費が確保されるから、経済の縮小をある程度の線で押さえることができるのである。
(この稿続く)
<古山明男 氏 プロフィール>
古山教育研究所を主宰
http://www.asahi-net.or.jp/~ru2a-frym/
ブログ「変えよう!日本の学校システム」は多くの支持を受けています。
http://educa.cocolog-nifty.com/blog/
2009年7月12日の当会主催の勉強会で「ベーシック・インカムのある社会」を講演。
講演録
http://bijp.net/transcript/article/91
http://bijp.net/transcript/article/98
【3】BIニュース 「BI時評」を開設しました
「ベーシックインカム・実現を探る会」HPにおいて、「BI時評」のコーナーを開設しました。
様々な角度からベーシック・インカムの近況について、評論していこうと考えています。
まずは、下記の時評を掲載しましたので、ぜひ御覧ください。
現代思想2010年6月号「ベーシック・インカムと社会サービス構想の新地平」
http://bijp.net/review/article/196
「なぜ、ベーシックインカムは個人単位の支給なのか?」
http://bijp.net/review/article/195
中央公論2010年6月号「ベーシックインカムが貧困を解消する」
http://bijp.net/review/article/192
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発行 : ベーシックインカム・実現を探る会、編集長:野末雅寛
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