BIメールニュースNo.006 2009.07.25発行
1 イベント『お金の在り方を変えよう!』を企画して 塩月 日佳
2 関曠野さん講演「生きるための経済」についての質問とお答え
3 BIニュース “国会におけるベーシック・インカムの議論”
1 イベント『お金の在り方を変えよう!』を企画して
ベーシックインカム・実現を探る会 塩月 日佳
6月20日に『お金の在り方を変えよう!』というイベントを企画した塩月です。講演者として地域通貨を広める安部芳裕さん、ベーシック・インカムを推進する小沢修司さん、「お金のいらない国」を書かれた長島龍人さんをお招きしました。
打ち合わせも何もなく(苦笑)始めたトークライブだったのに、まるで計算されたような、誰も予測できなかったほどドラマチックなイベントになりました。
安部さんの語られた「お金の真実」、小沢さんの語られた「ベーシック・インカムの在り方」が、「お金のいらない国」のセリフひとつひとつに集約されたような気がしました。
「お金のいらない国」は未来の人類の世界で、仕事をするのに誰も自分のことは考えません。誰かのため、社会のために、仕事をすることが当たり前だからです。その分、誰も、自分の必要なものに困ることはありません。喫茶店でコーヒーを飲んでも、タクシーに乗っても、スーパーにいってカゴに好きな物をいれても、お金はいりません。世の中はタダで動いているのです。
人びとに良心を思い出させる物語なのです。
ベーシック・インカムで問題になる「誰も働かなくなるんじゃないか?」なんて疑問は消えてしまうでしょう。社会はみんなが役に立つことで動いていくのだ、と自然に思えるのです。病気の人も障害をもつ人も、なんの気遣いもなく恩恵を受けます。困っている人に手を差し伸べるのは、当たり前だからです。「お金のいらない国」に共感できる人は、ベーシック・インカムを理解するのに、なんの疑問ももたないでしょう。
所得税で所得の半分とって、ベーシック・インカムに回すという方法論もありましたが、基本的にはそのくらいの意識になることができれば実現できると思います。自分がもってるお弁当の半分を、お弁当を忘れた人にあげることができればいいんです。あげた半分は、ちゃんと社会で回って自分に還元されるのですもんね。
フリートークの時間では、みなさん打ち解け合っておられたように思います。3人とも、とても謙虚な先生方です。主婦が思いつきで、初めて計画したトークライブにのってくださり、感謝するばかりです。安部芳裕さんは、世間に轟くような本を出されたばかりですが、いつもながら決して奢ったところのない方です。小沢修司さんは、当日初めてお会いしたのですが、大学教授にもかかわらず、とても気さくな方で本当に助かりました。長島龍人さんは、演劇をされるのに、控え室もないまま着替えもしてくださり、申し訳なかったです。以後気をつけます(苦笑)
お3人のそれぞれのファンの方々が集り、またそれぞれの思想が広がったいい場になったと思います。思いつきだったけれど、勇気を出してやってみてよかったと思いました。また先生方やスタッフのみなさんに甘えたところもたくさんあって、けして一人ではできなかったことでした。みなさんのご協力に感謝いたします。
開催当日の様子
http://teruminart.exblog.jp/11406276/
〈塩月 日佳(しおつき ひか) 氏 プロフィール〉
似顔絵描き、デザイナー、イラストレーター。社会活動家の似顔絵を描いているうちに人をつなげるようになり、『お金の在り方を変えよう!』経済トークライブを企画。現在は住んでいる草加市で地域通貨草加リングを仲間と計画中。全国に地域通貨やベーシック・インカムを広める運動もしている。
「未来と人間Watching!」
2 関曠野さん講演「生きるための経済」についての質問とお答え
ベーシックインカム・実現を探る会は、2009年3月8日にタワーホール船堀において、関曠野さん講演「生きるための経済」を開催しました。
当日はフロアの皆さんからの質問を数多くいただきましたが、その回答がテキストとして起こされていませんでした。このたび、この日の質問をベースにして、全面的に関さんが質疑応答部分を書き直して手を加えたものが完成しました。
大変凝縮された質疑応答になっていますので、これが今後ベーシック・インカムを論じるうえでの基礎問答集となり、フリーライダー(ただ乗り)論や思い付きの議論を省いて、本質的に、そして具体的に議論する礎石ができたことになります。
また、ベーシックインカム・実現を探る会では、さらに基礎的なQ&Aを準備中ですので、このような凝縮された内容が理解しづらいという方は、そちらをご期待ください。
3 BIニュース
“国会におけるベーシック・インカムの議論”
ベーシック・インカムについて、国会ではどのように議論されているのか、前回のメルマガで報告しました。引き続き、現時点のデータを整理してお送りします。
171 衆議院 文部科学委員会 12号 平成21年05月27日
鈴木寛参議院議員(民主党)が、日森文尋委員に対して
その中で、いわゆる高等学校の就学費というのは、基本額、これはベーシックインカムとも言えるかと思いますが、それに加えまして、教材あるいは入学料、入学考査料、それから通学のための交通費、こういうところなわけです。ここは抵触はございません。ただ、御指摘のように、授業料もここで含んでおることは事実でございます。
注)ここでは高等教育を受ける権利の文脈でベーシックインカムという語が使われており、私たちが提言する、個人単位で継続的に無条件で定額を給付するベーシック・インカムとは意味が異なります。
171 衆議院 内閣委員会 17号 平成21年07月08日
市村浩一郎衆議院議員(民主党)が林芳正内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)に対して
といいますのも、最近、ベーシックインカムという話も出てきまして、例えば、医療とか介護とか教育とか子育てとか、こういうものは、例えば年間百五十万円ぐらいは、もうすべて生活費を国が支給するということでやってはどうかという考えがあるようであります。
これは大分いろいろな議論が要ると思います。そんな、働かなくても年間百五十万もらえるんなら、みんな働かなくなるんじゃないかということもありますが、しかし、ある程度の年収を超えるとそれはない、それは自分で自己負担をしていく。やはり人間プライドがありますから、そんなにずっと国に頼って生きていくということではないと僕は信じておりますし、やはりきちっと努力をして、働いて、もっと大きなインカム、収入、所得を得ようという人の方が圧倒的に多いと私は思っておるんです。
ただ、中には、どうしても事情があって、例えば小さい子供がいてというようなこともあってなかなか働けない、そのときに、国があなたの面倒を見ますと。これは生活保護に近い考え方かもしれませんが。しかしながら、そこまでの制度は、生活保護というと、何となく、何か世間的に見ると、いろいろ事情があるにもかかわらず、それでいいのかという話もあることもありまして、これは議論が必要だと思いますが、そういう考え方も出てきている。日本だけじゃなくて世界でかなりいろいろ議論をされているようであるということであります。
そこで私が注目しているのは、それがベーシックインカムでやるかどうかは別として、まさに今申し上げた教育とか医療、介護、子育てといった分野というのは、実はミクロ的に言うと、どこが受け皿として一番ふさわしいのかということなんですね。これまでみたいに、では、教育サービスを提供する主体、介護サービスを提供する主体、医療サービスを提供する主体、子育てのサービスを提供する主体、それは株式会社がいいのかどうか、民営化だから民の中の、営利を目的とする株式会社にそれを担わせた方がいいのか、それとも、やはり行政がやった方がいいのかという話の、これまでの日本ではこの二者択一だったんです。
市村浩一郎議員ホームページ
国会でのベーシック・インカム発言、今回が最後です。ご自分で前後の文脈を知りたいという方は、下記の国会議事録検索にて、「簡単検索」あるいは「詳細検索」より調べてみてください。
なお、各政党がベーシック・インカムについてどのような態度を示しているかは、下記の記事が詳しいです。図書館などでバックナンバーをご参照ください。
『週刊金曜日』2009.3.6号
「各党に問う『ベーシック・インカム』に関する緊急アンケート」
http://www.kinyobi.co.jp/backnum/tokushu/tokushu_kiji.php?no=525
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