「モチベーション3.0 持続する『やる気』をいかに引き出すか」
ダニエル・ピンク著(大前研一訳)/講談社 2010年7月
ベーシック・インカムの話をすると、かならずと言っていいくらい、「でも、人々が働かなくなってしまうのではありませんか?」という疑問が出されるものだ。それに対して、人間には「内発的な動機付けがある」という実証的な答えを出してくれる本が現れた。
『モチベーション3.0』(原書名 "Drive")は、人の行動を動機づけているのは、報酬や罰や目標設定ではないのだということを、さまざまな実験データを引用しながら示してくれる。
たとえば、第2章「ムチとニンジンが効かない7つの理由は」
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内在的な動機を消滅させる
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達成度を下げる
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創造性を潰してしまう
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高邁な行動を閉め出す
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イカサマ、安易な結果出し、不道徳な行動などをもたらす
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中毒になる
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近視眼的な考えをもたらす
を挙げている。
本書はビジネスの世界の人たちを念頭において書かれたものだが、ベーシック・インカムがある社会を考えるときにも、なくてはならない本である。
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文責:古山明男