特別決議~私たちはベーシック・インカムを要求する~
二〇一一年三月一一に、この国をおそった東日本大地震は、多くの人たちのいのちを奪い、生活の糧を奪った。さらにこの震災は、釧路に住む私たちの生活をも、一変させることになった。
北海道の建設労働者は、冬、働くことができない。春先のこの時期は、私たちにとって、もっとも厳しい季節だ。たくわえは底をつき、ひろい仕事をして喰いつなぐしかない。
震災の影響は、建築資材の不足というかたちで現われた。資材の入荷が滞るということは、その間、仕事ができないということである。末端の現場で働く私たちは、「一日いくら」の日雇い労働者だ。一日仕事を待たされれば、即、その日の収入を失うことになる。
私たちの仲間には、手間請で働く「一人親方」が多くいる。加えてここ数年、とりわけ消費税の免税点が引き下げられてからは、一人親方のように、請負契約で働くものが激増した。社会保険はおろか、雇用保険さえ、掛けてもらえなくなっている。
いまや私たち建設労働者はすっかり、所得保障の蚊帳の外なのだ。
国や行政はこの間、「雇用、雇用」と繰り返すばかりだった。冬場も通して働けと、「通年雇用」がしきりとすすめられた。しかしいま、仕事そのものがないのである。仕事をしようにも、できないのである。
すでに述べた通り、仕事ができなければ、私たちは即、生活ができない。そんな私たちに対して、行政が用意しているメニューの多くは、貸付だ。しかも緊急融資にしろ、生活福祉資金にしろ、借りるために面倒な手続きをふむものばかりだ。それらにしても、借りられたところで、果たして返すアテなどあるわけではない。
国はいま、モノ、カネ、そしてヒトを、被災地に集中しようとしている。すでに東北地方に応援に出かけた仲間も少なくない。「東北に行けば仕事はある」というわけだ。
しかしながら、出稼ぎが過酷なものであることを、私たちは知っている。出稼ぎ先は寝る場所の確保さえ容易ではない。給料を持ち逃げされ、帰ることが出来ずにホームレスになったものもいる。戻ってきたところで、地元での職が保障されているわけでもない。
そもそも私たちは、こんな兵糧攻めのような目に遭い、飢えて駆り出される羽目になりたくはない。
私たちは、被災地への支援を惜しまない。しかし、私たち自身が喰い詰めてしまえば、被災地を支援することさえ出来ない。じっさい、明日のコメが手に入らない事態が、仲間うちに生じている。もはや一刻の猶予も許されない。
すべてのものに所得補償を! 私たちはベーシック・インカムを要求する!
本大会において右決議する。
二〇一一年四月九日
全建総連釧路建設ユニオン定期大会