99% のためのベーシックインカム構想のご紹介

以下は、薔薇マークキャンペーンの政策提言の一部として発表されています。とても、有効なたたき台だと思いますのでご紹介いたします(白崎)

 

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https://rosemark.jp/2021/04/06/2021040602/

要約および本文 (全体の論文は、上記URLから薔薇マークのPDFへリンクされています)

99% のためのベーシックインカム構想

99%のためのベーシックインカム構想(要約および本文)

2021/04/04
朴勝俊(関西学院大学総合政策学部教授)
山森亮(同志社大学経済学部教授)
井上智洋(駒澤大学経済学部准教授)

 

99%のためのベーシックインカム構想(要約)

ベーシックインカムは、全ての個人に均等に一定の金額を定期的に給付する制度です。これが他の社会サービスなどを補完することによって、「健康で文化的な最低限度の生活」や、個人的および社会的自由の保障に、現在より近づくことができます。
高度な生産力と貨幣発行権を持つ日本では、不況下において、政府が国債を市中に売却し、日本銀行がそれを買い上げるような方法で、現金給付が可能です。しかし経済が回復して物価上昇率が高まった場合に備えて、税制等によってそのおカネを回収する仕組みも必要です。
こうした認識から、私たちは2階建てのベーシックインカムを試案として提案します。2階部分は、政府と日本銀行の協調による貨幣発行(国債発行と日銀の買い入れ)によるもので、均等の給付を行うことで景気回復を促し、物価安定目標を達成することを目的とします。その金額は、政府や日銀が裁量的に決定しますが、経済が回復するとゼロに向けて縮小します。当面は深刻な経済停滞が続いているため、1人1月7万円の給付を想定します。
1階部分は、恒久的に安定的な給付額を保証するもので、この部分については税による裏付けを必要とします。新税の設置や、所得税等の増税によって確保できる税収額に応じて、それを人口と12ヶ月で割り算し、1人1月あたりの給付額が決められます。ちなみに、1億2600万人に1人1月あたり1万円を給付するためには、およそ15.12兆円の裏付けが必要です。その中心になるのは、所得税制の改革(所得控除の廃止と、税率の引き上げ)です。私たちの試算によれば、これだけで45兆円弱の増収が見込め、1人1月あたり3万円弱のBIが可能です。経済回復によってさらに増収となれば、BIの金額はもっと増やすことができます。それ以上に1階部分の金額を増やすことは、それ以外に様々な税金を新設・増税すれば可能となります。もし税収が不足することになっても1階部分の金額を減額することはないものとします。
BIを運営するために、BI特別会計を設置します。BIの裏付けとなる税収はこの会計に繰り入れて管理します。既存の社会保障制度との関係については、私たちは原則として既存制度に手をつけません。ただし、児童手当(約2兆円)については、BIがとって代わるものとして廃止し、この予算分をBI特別会計に繰り入れます。生活保護の現金給付については、1階部分を収入認定し、自動的に調整をします。その他、国民年金の基礎年金部分については、一般財源から国庫負担が行われていますので、それとの調整を検討する余地がありますが、私たちは現段階で、その議論には立ち入りいません。私たちの提案では、1階部分と2階部分の合計で、当面は1人1月10万円(三人家族で年額360万円)の給付が可能です。1階部分と2階部分を合わせても、現行の社会政策体系のもとではすべての人に生活に十分な金額を保障できるわけではないので、これはいわゆる「部分BI」と呼ばれるものに相当します。

山崎農業研究所所報『耕 No.150』に関曠野さん、白崎の寄稿ご案内

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<お知らせ>山崎農業研究所所報『耕 No.150』内容案内
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山崎農業研究所所報『耕 No.150』(80頁)の内容を紹介いたします。
ご希望の方には雑誌を頒布いたします。
yamazaki@yamazaki-i.org
までご連絡ください。

目次
《土と太陽と》(巻頭言)
東日本大震災復興に寄せて◎渡邊 博

[第44 回山崎記念農業賞]
選考理由報告◎山崎記念農業賞受賞選考委員会
山崎記念農業賞を受賞して◎上野長一
お祝いの言葉

[特集1:3.11から10 年]
3.11から10年のちの人間と自然について◎山下祐介
原発事故の教訓─我々はどこで間違えたのか◎関 曠野
金融危機2008から震災と原発事故2011、そしてコロナ禍2020へ◎白崎一裕
福島第一原発事故から食と農と地域の10年をふり返る◎中島紀一
放射線災害後の福島の農業─数値が語るこの10 年◎原田直樹
震災10 年目の農の復興の今とその再考◎石井秀樹

〈農村定点観測〉震災からの節目ってなんだろう◎茨城県・鈴木孝夫

[特集2:里山の自然を整える]
昔の暮らしと「大地の再生」視点から里山整備を考える◎大内正伸
持続的な里山保全活動を実践する手賀沼トラスト◎高木 茂
里山保全における市民活動団体の役割について◎佐々木哲美

〈連載〉“生きもの語り”の世界から(20)
『うねゆたかの田んぼの絵本』─作者による個人的な解説"◎宇根 豊

〈自著を語る〉
『水田と前方後円墳─巨大前方後円墳はなぜ突然現れまた
消えていったのか』◎田久保 晃
『『清流水俣川─治水・利水・親水がともにある世界』◎寺田義久

山崎農業研究所顧問・田渕俊雄先生を悼む◎山路永司

〈電子耕を読む〉
嬉しいWFPノーベル平和賞受賞、では日本農業は?◎塩谷哲夫
我が国のジェンダー◎高木 茂