第38回長野県有機農業研究会 大会のお知らせ
「ベーシックインカム(BI)から考える農の暮らし」
・・・経済の根本の問題を学ぶことで見える明るい未来・・・
「グローバリズムの終焉」(農文協)の著者2人が語る
基調講演 思想史家 関曠野さん 農家 藤澤雄一郎さん
日時 3月3日(土)13:00~16:30
会場 塩尻市総合文化センター(レザンホールの隣)
懇親会及び宿泊会場 合宿研修旅館 「陽だまりの家」
〒399-0721 長野県塩尻市金井811 tel 0263-88-2839
参加費 講演会 500円 予約不要
懇親会のみ 2000円 飲み物・酒類注文は別途個人清算です。
(酒類や一品持ち寄りは自由です。)
宿泊(夕食・朝食)8000円(寝具持参の方7500円)
懇親会・宿泊のご希望の方は予約してください。
申し込み締め切り 2月17日(土)
問い合わせ・予約 津村孝夫(長野県有機農業研究会中信地区長)まで
Tel/fax 0263-77-2507 080-1050-3131
後援 長野県農政部
講師 関さんからのメッセージ
明治維新という薩長のクーデターが作りだした日本国家は現在、制度疲労で自滅しかけています。しかし国家機構は壊れても日本の山河は滅びません。国家には、その土台となる二つの基本インフラがあります。ひとつは「農は国の基」-国土を保全し伝統を発展させ生命を再生産する農というインフラです。もうひとつは、マネーという血液を経済の体内に循環させる通貨システムというインフラです。そして今の日本経済では、システムの欠陥でこのマネーの流れが滞り歪みや格差が拡大しています。今も日本は世界の人々からその美しさを評価される国ですが、 このままでは日本に未来はありません。
長野県有機農業研究会の方々は、農というインフラをオーバーホールするという意義深い実験に従事されています。この実験を補完するかたちで、日本の通貨というインフラをどのようにオーバーホールしたらいいか、講演でお話ししたいと思います。
・・・講師紹介・・・
関 曠野(せき ひろの)
1944年東京生まれ。評論家(思想史)。共同通信記者を経て、1980年より在野の思想史研究家として文筆活動に入る。思想史全般の根底的な読み直しから、幅広い分野へ向けて発言を続けている。著書に『プラトンと資本主義』(北斗出版)、『野蛮としてのイエ社会』(御茶の水書房)、『歴史の学び方について』(窓社)、『みんなのための教育改革』(太郎次郎社)、『民族とは何か』(講談社現代新書)、『フクシマ以後―エネルギー・通貨・主権』(青土社)、『グローバリズムの終焉-経済学的文明から地理学的文明へ』(藤澤雄一郎氏との共著 農山漁村文化協会)などがある。また訳書に『奴隷の国家』ヒレア・べロック(太田出版)がある。インターネットで以下のURLを読んでいただくことをお勧めします。
http://bijp.net/transcript/article/458
藤澤 雄一郎(ふじさわ ゆういちろう)
1957年信州安曇野生まれ。松本深志高校をへて、東京水産大学(現東京海洋大学)卒業。有機農家。1987年「穂高町の15年戦争―町民がつづる戦争体験記」(郷土出版社)の出版に携わる。現在、アイガモ農法による酒米やコシヒカリを栽培。無施肥無農薬栽培で加工用トマト、小麦、大麦、大豆、黒豆などを育てる。県の新規就農研修の里親。
全日程スケジュール
3月3日(土)
12:00 受付開始
13:00 開会・会長挨拶
県代表挨拶
13:15 第1部 関さん
14:30 休憩
14:45 第2部 関さん
15:15 第3部 藤澤さん
15:30 会場からの発言・質疑応答
16:30 閉会
陽だまりの家に移動
18:00~ 懇親会
3月4日(日)
8:00 朝食
9:00 自由討議
10:30 休憩
10:40 総会
11:40 地区会
12:00 閉会
第38回大会に向けて・・・実行委員長(津村)の思い
豊かな地力と多様な生態系に支えられた土壌から生み出された食べ物を通して、自立した生産者と消費者が結び付き、地域の社会や文化の発展と、安定した永続的で幸福な生活の実現を図ること。これは「有機農業」という言葉が生まれたときからの理念ですが、これは、特別な言葉にしなくても、本来農業や「農」の在り方の本質のはず。
今、それぞれの農業の技術的な課題、経営の課題など、考えるべきことも多いですが、その基盤となる、私たちが生きている社会の「経済の根本的な仕組みの問題」を共に学び、どうやったら皆が生き易くなるのかを、共に考える機会をつくりたい。
本来手段でしかないはずのマネーが、なぜ社会や人生の目標になってしまったのでしょうか?
「経済」は制度の産物に過ぎず、制度が間違っていたら作り直せばいいのではないでしょうか?
農業が基軸の地域計画、すなわち地域の自然に密着した自分たちの暮らしを積極的に作り出すことを、ベーシックインカム(国民配当)と「公共通貨」を学ぶことから探る手掛かりにしたいと思います。
より豊かで自由な発想と、そこから生み出される新たな政策提言に繋がる機会をつくることが重要ではないでしょうか。
この大会を通じ、明るい未来を語れる大人に成長し合いたいと考えています。
・・・・何故、この二人なのか?・・・・・
以下、関さんと藤澤さんの共著「グローバリズムの終焉」より抜粋
(関さん執筆部分)
・・・・この国の根本問題は、恵まれた美しい国土にもかかわらず、首都圏に異常に人口が集中していることにある。その理由は東京に行けば雇用と所得の点で有利ということ以外にない。それならば基礎所得補償の実施に際して首都圏を一定期間補償の対象から外したらどうだろうか。そうすれば若者を中心に首都圏から地方への民族大移動が発生し、人口分布の歪みは一挙に是正されるだろう。そして地方の人口が増え、その所得も保証されているならば、地域経済は自ずと活性化するはずである。基礎所得を有効に使うためには物価の安い土地を選ぶほうがいいのだから、この政策はおそらく過疎地域や離島の人口を増やすだろう。・・・・
どう実現するかはともかく、この政策、とても分かりやすいと思いませんか?もう一つ、こちらも引用になってしまいますが、
・・・・農業の基本的な使命は国土と伝統の保全であって、商品としての食物の生産ではない。それゆえに農業は資本さえ投下すれば発展する産業ではなく、地域の在り方のことである。産業に不可欠な水利にしても、地域全体の視点から考えねばならないことは明らかである。この国が今必要としているのは、たんなる農業の再生ではなく農業を基軸とした地域計画なのである。・・・・
以下は、津村の考え方の基盤となっているものの歴史。
高校時代(16歳)に福岡正信の「わら一本の革命」に触れ、生き方を考え始める。守田志朗の考え方に大いに感動したが、現実の社会はどうもそういう考え方のもとには動いてないことに気付く。昆虫学を学ぶために大学に行くが、農業の現場で夢を持って働く人たちに触れる機会があり、大学を辞め、自ら農業の現場で働く道を選ぶ(19歳)。農業には、やりがいや生きがいがあって、皆楽しく働けることは実感するものの、いわゆる慣行農法であったため、農法的に限界を感じていたところ、青年海外協力隊の存在を知り、ザンビアに行く機会を得る(29-31歳、職種:養鶏)。あらためて、自給的な小農の暮らしが、如何に生きていく基本であるかを痛感する。帰国後、他の人や国を侵さない、かつて描いた農的暮らしを実現すべく、独立した百姓になる地として安曇野を選ぶ。そこで、この地での有機農業の先駆者である藤澤雄一郎に会い、生き方、暮らし方を学ぶ。
移住とほぼ時を同じくして、地元(安曇野市三郷)の廃棄物処理施設の違法な建設・操業という問題に関わることになり、自分たちの日々の暮らしの問題は、政治の問題に直結していることを知る。
政治に展望を持つためには、先を見ることが出来る考え方が必要。藤澤氏はその点において、安曇野で会う他のどんな人よりも進んだ世界を見ている人だと感じた。
その藤澤氏が、考え方の指針にすすめる思想家が関氏である。
藤澤さんからのメッセージ
有機農家はだいたいお金に困っていると思います。過疎化や地域の衰退を心配している人も多いでしょう。根本にはマネーの問題があります。関曠野さんは国民配当(ベーシックインカム)と国民通貨を提唱している在野の研究者で、未来は農を中心とした社会でしかありえないと言っています。私も全く同じ意見ですが、マネーの問題抜きにはそうした社会は築けないとも思っています。是非大勢ご参加いただき、関さんとともに考えてみませんか。