「震災復興へのベーシックインカム・通貨改革支援について」

ベーシックインカム・実現を探る会代表 白崎一裕

今回の熊本・大分などの震災で被災されたすべての皆様に心からお見舞い申し上げます。また、残念ながら亡くなられた方々へ心よりお悔やみ申し上げます。様々な方法・関わりで多様な支援が行われていると思います。私も3・11東日本大震災時には栃木県北で被災いたしましたので、本当に、現地は、いま大変なことであろうと推察いたします。その3・11直後に、ベーシックンカム・実現を探る会も主催・参加して「震災復興所得保証を要求する院内集会」を行いました。そのときに、出させていただきました提言(一部訂正しました)を以下に再掲いたします。この提言は、こんどの震災でも有効であると思いますのでみなさまにご参考にしていただければ幸甚です。

~~震災復興基礎所得保障等を政府に要求する声明~~~~~

被災者、そしてすべての人々へベーシック・インカムを!!~...

「3・11」。この日は、日本の歴史の大きな裂け目として記憶されるであろう。復興へのプランが様々な立場から提言されているが、政府に対して、生活福祉資金貸付(緊急小口資金)をはじめとする被災者生活再建支援法など、現行関係法規の積極的活用と柔軟な運用、医療・介護・雇用・住宅・教育・子育てに関する支援の方策の充実が求められている(注1)。

にもかかわらず、それらの申請は複雑であり、すでに制度からこぼれ落ちる人々が出ている。また行政機構も含めたすべての生活基盤が奪われ、雇用が暮らしを支えるようになるまでには多大な時間と試行錯誤が必要である。そのような状況の下、いま、私たちは要求する!まずは、緊急に個人単位・無条件の所得保障として被災地域のすべての人々に月額15万円の支給を。期間を5年とし、支給対象地域を岩手・宮城・福島三県および近隣県の被災基礎自治体とする(注2)。

支給の条件を「個人単位・無条件」とすることで、一人ひとりの生活の多様性を損なわない柔軟な所得保障が実現され、将来が見えない被災者の物質的・精神的な支えとなるであろう。地域の消費にまわることで地域自給を促す迅速な経済回復にも有効である。地域・地方の経済再生は、個人への所得保障から始まるといっていい。さらに、この所得保障をベースに、医療・介護・雇用・住宅・教育・子育てなどの支援(現物給付など)を総合的に組み立てることもまた、すべて政府の責任においてなされるべきである。所得保障によって、義援金を地域のインフラ整備などにも回すことが可能になる。財源を懸念する声もあるかもしれない。復興費用試算は20~30兆円、これに加えて原発対策関連費用が10兆 円を超えるといわれている。阪神・淡路のときの復興費用は、当初、10兆円といわれたが、結果はその1.5倍以上の16兆円だった。この莫大な費用の捻出は増税、緊縮財政や通常の国債発行では賄いきれないであろう。ここは、震災国債発行による日銀の直接引き受けによる方法が最も望ましい。日銀からの資金は直接国庫に入金され、国の借金を増やすことなく、結果として利子もつかない。被災したすべての人々、そしてこの国に暮らすすべての人々が希望をもてる社会の実現に向けて、わたしたちは、基礎所得保障を基盤とした総合的な復興政策の実施を要求する。

 

以上注1:大阪弁護士会「東日本大震災における被災者の生活再建に係る関係法規の運用改善及び法改正に関する緊急意見書」 (4月7日付)参照。注2:ちなみに岩手・宮城・福島三県を「震災特区」として所得保障を実行した場合、総人口567万人×月額15万円で年間10兆2,114億円。震災復興費用には、この所得保障分を含めた予算組が必要となる。近隣基礎自治体の中では、茨城県の各自治体も広域に含まれるが、この概算では省略した。